コロナ後遺症って慢性疲労症候群?その4

中枢神経系における合併症

いくつかのME/CFSの中核症状(認知機能障害、睡眠障害)や周辺症状(感覚過敏症状、運動器症状)は、中枢神経系(CNS)機能の変性を反映しています。ME/CFSにおける画像所見のメタ解析では、脳血流変化、脳皮質の構造異常、局所的な炎症、機能的な結合性の変化が、健常者の場合よりも大きな割合でみられています。これらの構造異常の結果として、どのように特異的な神経認知機能の欠損が起こるのかは分かっていません。同様にこれらの変化のメカニズムが感染トリガーと関係するかどうかも不明です。

多くのウイルスは、何種類かのコロナウイルスも含めて神経へ侵入しCNS組織に炎症性ダメージを起こします。例えば、人間の脳や脳脊髄液から分離されたSARSーCoV1は、重症例では浮腫、神経変性、脱随、壊死に関係していました。脳虚血や微小血管障害イベントがSARS、MERS、COVID-19感染症で報告されています。

また、ある特定のウイルス感染と慢性的な神経疾患との関係を示すエビデンスがいくつかあります。例えば、呼吸器や消化管の発熱性疾患を起こす、あるヒト感染性のコロナウイルスは、健常者に比べて多発性硬化症のCNS組織には有意に多く存在しています。慢性疲労症状のため職場復帰ができないSARS生存者の睡眠に関する研究では、REM睡眠やα波睡眠の異常が高率にみられますが、これはME/CFSに共通してみられることから、同じ病理学的機序が考えられています。感染症後のCNSにおける炎症、自己免疫、細胞シグナルのメカニズム変化が多数見つかっていますが、感染症後のME/CFSの病因におけるそれらの役割は不明瞭です。感染急性期におけるCNSの構造や機能の変性、そして感染症後のME/CFSの症状の因果関係は明確には分かっていません。

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COVID-19 and post-infectious myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome: a narrative review. Poenaru S, Abdallah SJ, Corrales-Medina V, Cowan J.Ther Adv Infect Dis. 2021 Apr 20;8:20499361211009385. doi: 10.1177/20499361211009385. eCollection 2021 Jan-Dec