桂枝湯1

桂枝湯証について

桂枝湯証として以下の三症状が挙げられます。症状が一つだけ見られる場合には、それだけで桂枝湯証とは言えませんが、三つ同時に見られる場合には桂枝湯証と診断できる可能性が高まります。その三つとは、①自汗、悪風、発熱あるいは熱感、②上衝感、動悸、筋肉の痙攣や拘急、③脈は浮・虚・緩・数あるいは大で力が無く、舌質は淡紅あるいは暗淡で、舌苔薄白、です。

自汗、悪風、発熱

自汗とは、気候が特に暑くなく、運動したり発汗する薬を服用したわけでもないのの自然に汗が出ることを言います。悪風は冷たい風に敏感で、暖かい環境や衣服を着こんだりすると症状が和らぐものをいいます。発熱とは体温が高くなったり、全身に熱感を自覚することです。

上衝感、動悸、筋肉の痙攣や拘急

上衝緩、動悸、筋肉の痙攣や拘急の症状は、精神神経機能の興奮によって現れたものです。上衝感には、めまい、ふらつき、のぼせ、顔が赤くなる、睡眠障害、多夢、胸腹部の突きあがり感、臍腹部の拍動感などの症状が含まれます。筋肉の痙攣や拘急には、胃腸の痙攣性疼痛、腹直筋の突っ張りや、四肢筋肉の引きつりによる疼痛などの症状が含まれます。

脈浮・虚・緩・数

脈が「浮」とは、軽く触れても脈拍がはっきりと応じるもので、一般的にはやせ型の患者にこの種の脈象がよくみられます。桂枝湯証にみられやすい脈象は浮脈だけでなく、和緩で不数(頻脈ではない)といった緩象や、脈の力が弱いか、力のない虚象と共に現れることが多いといえます。また、虚で数(頻脈)の脈象が見られることもあります。

参考文献:黄煌著「KAMPO十大類方」メディカルユーコン社