漢方内科
Oriental Medicine
漢方内科
Oriental Medicine
漢方とは漢(中国)から伝来した医学をいいます
漢方とは漢(中国)から伝来した医学をいいます。
中国伝統医学(中医学)をもとに、日本で発展した日本独特の伝統医学です。
現代の漢方医学はさらに現代医学的研究も用いられ、多くの医療機関で様々な疾患に処方されています。
漢方薬は主に草根木皮や鉱物などの生薬を材料として一定の目的をもって配合・調整された薬剤で、一般的な教科書に掲載されている生薬は250~300種類になります。
保険診療で使える漢方製剤はおよそ150製剤で、保険適用生薬はおよそ180種類となっています。
漢方独特の病態
判断基準
“表裏”
“寒熱”
“虚実”
“六病位”
“気血水”
“臓腑”
湯剤(煎剤)
生薬を水で煎じて熱水抽出したものです。
吸収が速やかなため効果発現が迅速で、症状に合わせて方剤中の生薬の分量を増やしたり減らしたりしやすいと言えます。
ある処方の中の生薬の分量が増えても、実際に服用する液量は成人で1日200~300ml程度です。
液剤であるため年齢を問わず内服しやすい利点があります。
散剤
生薬を粉砕して散状にしたものです。
消化管内で徐々に有効成分が抽出されるため、揮発成分が失われにくくなっています。
丸剤
薬を散状にしたものを蜂蜜などで練り固めたものです。
コーティングされているため精油成分の蒸発が味やにおいが比較的少なく、日持ちがして携帯に便利です。
医療用エキス製剤
一旦湯剤として、そこからエキス(抽出物)を作製し賦形剤(乳糖等)を加えて調整したものです。
どの剤型の場合も一旦湯剤として、そこからエキス(抽出物)を作製 し賦形剤(乳糖等)を加えて調整したものです。
たとえて言えばインスタントコーヒーをイメージしてもらうとよいと思います。
各製薬会社から製品が出されていますが、内容に微妙に違いがある方剤もあります。
四診、望診・聞診・問診・切診からなります
診察スタイルは内科外来のそれと大きく変わることはありません。
診察椅子に座っての一般的な診察と、診察ベッドに寝ていただいての腹診があります。
四診と言って、望診・聞診・問診・切診からなります。
望診 ぼうしん
視覚による診察です。
眼や顔色、爪、皮膚、歩行などを観察します。漢方的独特のものとしては舌診があります。
聞診 ぶんしん
聴覚や嗅覚による診察です。
音声、呼吸音などを観察します。
問診 もんしん
切診 せっしん
【脈診】
左右の橈骨動脈の触診により心身の状態、疾病の性質などを評価します。
脈の深さ、強さ、回数、幅、緊張、なめらかさ、長さなどを診て病状を判断しますが、個人差もありむしろ経時的変化が参考になることも多いです。
【腹診】 腹壁の緊張や、押さえた際の痛みにより心身の状態、疾病の性質を確認します。
古来日本漢方では腹診の所見が大変重視されてきました。
漢方独特の病態の判断基準
「表裏・寒熱・虚実・六病位・気血水・臓腑」
薬を散状にしたものを蜂蜜などで練り固めたものです。
表:
体の表面で、情報の受容・伝達・運動をつかさどる部分で、皮膚・筋肉・関節・骨・神経などが該当します。
動物で発達している部位とも言えます。
裏:
体の中心部で、栄養の吸収・循環・性と老廃物の排出をつかさどる部分で、消化管・心・肺・泌尿器・生殖器などが該当します。
植物で中心になる働きとも言えます。
自覚的な寒冷感、温熱感の有無ですが、自覚されにくい場合もあります。
熱とは必ずしも体温の上昇を伴いません。
体力に応じた病気に対する反応のことで、見た目の体型だけでは判断できません。
虚:
病気に対する抵抗力が衰弱している状態
実:
病気に対する抵抗力が充実している状態
体力が充実している時期から、体力よりも病勢が勝っている時期に向かって、
太陽病 →小陽病 →陽明病
→太陰病 →少陰病 →厥陰病
と進行していきます。
それぞれの時期に応じた漢方処方があります。
例えば葛根湯は太陽病の時期に使用します。
気:
体をめぐる作用で目に見えないもので、人体のエネルギーと言えます。
具体的には神経、免疫、内分泌(ホルモン)などが当てはまります。
血:
体をめぐる作用で目に見えるもので、血液とそれによってもたらされる栄養分と言えます。
具体的には栄養や毛細血管における血液の巡りなどが当てはまります。
水(津液):
血と同様に体をめぐる作用で目に見えるもので、血液以外の水分、例えばリンパ液などです。
水は炎症、疼痛、精神状態などと密接に関係しています。
これら気・血・水は身体を順調に巡っていることが大事で、この過不足や停滞が病気を引き起こすと考えられています。
また気・血・水はどれか一つのみの異常のこともありますが、お互い密接に関係しているため同時に変調をきたしやすいと言えます。
五臓六腑(ごぞうろっぷ)といいますが、
「五臓」とは肝、心、脾、肺、腎で
「六腑」とは胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦を指します。
特に五臓が重視されますが、西洋医学の各臓器と完全に一致しているわけではなく意味合いが若干異なります。
肝
すべての臓腑の活動がスムースに行われるための調節を行っています。
このことは情緒の調節や短銃の分泌および排泄機能も意味しています。
血液を貯蔵し血流量を調節しています。
全身の筋肉の運動と関わっています。
代表的な病理変化
肝気鬱滞: かんきうったい |
抑うつ感、イライラ感、胸肋部の膨満感や疼痛など 【代表的な処方】四逆散 |
肝血虚: かんけっきょ |
めまい、目がかすむ、こむら返りなど 【代表的な処方】四物湯 |
その他
肝陽上亢: かんようじょうこう |
肝気鬱滞が進行して目の充血や顔面紅潮などの熱症状を生じたり、激しい頭痛をおこすもの |
肝風内動: なんふうないどう |
けいれんや四肢麻痺、意識障害などをきたすものなどがあげられます。 |
心
「心臓」とほぼ同意の、血液循環の中枢です。 意識・精神の中枢、いわゆる「こころ」のはたらきも含んでいます。
代表的な病理変化
心気虚: しんききょ |
動悸、息切れ、汗をかきやすい、脈が細弱など 【代表的な処方】補中益気湯 |
心血虚: しんけっきょ |
不眠、物忘れしやすい、脈の結滞など 【代表的な処方】人参養栄湯 |
脾
消化・吸収および全身への栄養の輸送を行っています
→「小腸」の機能と似かよっていますが、吸収した栄養分からエネルギーを産生する機能も包括しています。
血液が血管内から漏れ出ないようにしています。
全身の肌肉(軟部組織)を栄養・維持しています。
代表的な病理変化
脾気虚: ひききょ |
食欲不振、上腹部不快感、下痢など 【代表的な処方】四君子湯、六君子湯、啓脾湯 |
脾陽虚: ひようきょ |
脾気虚の症状に寒がり、顔色が淡白、温めると改善する腹痛など 【代表的な処方】人参湯、附子理中湯 |
脾不統血: ひふとうけつ |
脾気虚の症状に下血や不正性器出血などが加わったもの 【代表処方】帰脾湯 |
肺
「肺」とほぼ同意の呼吸機能を持ち、同時に全身の気の巡りをコントロールしています。
水分代謝に関与しています。
皮膚の汗腺の機能を支配し、汗の排泄や皮毛の変化に関わっています。
代表的な病理変化
肺気虚: はいききょ |
全身的な気虚症状に加えて咳嗽・息切れ・自汗など 【代表的な処方】補中益気湯 |
肺陰虚: はいいんきょ |
乾性咳嗽、口腔の乾燥、嗄声、頬部紅潮 【代表的な処方】麦門冬湯、滋陰降火湯 |
腎
「腎臓」とほぼ同意で水分代謝を行っています。
成長・発育・生殖を促進する機能を持ち、骨や歯の形成にも関わっています。すなわち種々のホルモン作用を統括した概念と考えれられます。
代表的な病理変化
腎陽虚: じんようきょ |
寒がり、耳鳴り、足腰がだるく無力、夜間頻尿など 【代表的な処方】真武湯、八味地黄丸、牛車腎気丸 |
腎陰虚: じんいんきょ |
めまい、四肢のほてり、微熱感、寝汗など 【代表的な処方】六味地黄丸 |
その他
腎精不足: じんせいぶそく |
成長発育遅延、早老 |
腎気不固: じんきふこ |
腎気不足により多尿、頻尿、尿失禁、早漏などが生じること |
腎不納気: じんふのうき |
腎気不足により肺の機能が失調して慢性の咳や喘息をきたすものなどがあげられます。 |
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