減量治療薬として期待が高まる週1回投与のアミリンアナログcagrilintide

先生、また更新サボってたでしょ。僕のファンが寂しがってるよ!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
年末で忙しかったんですよ!年賀状も出さないといけないし…(めんどくさい)
来年は戌年じゃないのに年賀状出すの?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
…あなた戌年にしか出さないんですか?

そういえば、モッさん少し太りました?

うっ!どうしてバレたの?
クリスマスに食べすぎたかな…
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
今日は期待が高まっている新しい抗肥満薬の論文を紹介しましょう。
アミリンアナログの話だね!
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
さすがまる!できないアシスタントは犬小屋に帰ってヨシ!
だから僕のファンが悲しむって!
モッさん
モッさん

アミリンはインスリンとともに膵β細胞から分泌されるペプチドホルモンでああり、食欲抑制に働く。

アミリンは、ものを食べた時にインスリンとともに膵臓のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンです。

アミリンは、消化管運動を抑制して血糖値を調節したり、グルカゴンを抑制する働きを持っています。

さらに、アミリン受容体は、背側迷走神経複合核群(孤束核、最後野、迷走神経背側運動核)に存在しており、アミリンはGLP-1などと同様に視床下部の食欲中枢に作用して満腹感を増強し食欲抑制に働きます

なんかGLP-1に似ているね。

あっ、そうか!だからアミリンアナログも体重減少効果があるってこと?

モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そのとおりです。
しかし、実はアミリンアナログは以前からあったのです。
Symlin(pramlintide:プラムリンタイド)をご存じでしょうか?

Symlin(pramlintide)は米国で糖尿病治療薬として承認されているアミリンアナログである

pramlintideは、糖尿病治療薬として2005年にFDAで承認されたアミリンアナログです。

2型のみならず、1型糖尿病の補助療法としても承認されましたが、実際はほとんど使用されていません

作用時間が短いので、1日2-3回注射しないといけないということと、そこまで血糖改善効果が高くないことがその理由と思われます。

このアミリンアナログを使うと少しだけ体重が減ることが当時から知られていました。

今回、長時間作用型のアミリンアナログであるcagrilintideが開発され、新しい機序の減量治療薬として期待が高まっています。

cagrilintideの減量効果をリラグルチド3.0㎎、プラセボと比較した試験

cagrilintideは用量依存的な体重減少効果あり、cagrilintide1.2㎎以上では9~11%の体重減少を認めた。

肥満もしくは過体重の人にcagrilintideを投与し、体重減少効果をリラグルチド(ビクトーザ)やプラセボと比較した二重盲検、ランダム化比較試験(第2相)です。

対象はBMIが30以上、または高血圧や脂質異常症を合併しているBMI27以上の人(18歳以上)であり、糖尿病の人は除外されました。

10ヶ国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイルランド、日本、ポーランド、セルビア、南アフリカ、イギリス、米国)の53施設が本試験に参加しました。

参加者706人は、cagrilintideの0.3mg(101人)、0.6mg(100人)、1.2mg(102人)、2.4mg(101人)、4.5mg(102人)の5グループ、もしくはリラグルチド3.0㎎群(99人)、プラセボ群(101人)のいずれかに割り付けられました。

cagrilintide群は初期用量として0.3㎎もしくは0.6㎎が開始され、各グループの投与量に達するまで2週間毎に0.6㎎ずつ増量されました。(週1回皮下注射) リラグルチド群は初期用量として0.6㎎が開始され、3.0㎎に達するまで毎週増量されました(1日1回皮下注射)。

参加者全員に対して、1日当たりの摂取エネルギーを500kcal減らす指導と、1週間に150分の運動が指導されました。

ガジガジDr.
ガジガジDr.
主要評価項目は、ベースラインから26週後までの体重の変化率

副次評価項目は、体重変化量、ウエスト周囲径、代謝パラメータ(脂質データや血糖値など)でした。

有害事象などの安全性の評価も併せて行われました。

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
結果です♪

 

cagrilintideのほうがビクトーザよりも体重が減るの?!
ガジガジDr.
ガジガジDr.
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そのようですね…。しかもグラフのベクトルを見ると、薬剤を継続すれば26週以降もまだまだ体重が減りそうです
ガジガジDr.
ガジガジDr.
しかし、ここまで体重が減るだけに副作用が気になりますね。

吐き気、嘔吐、便秘などの消化器症状の発現率は高いが、リラグルチドと同程度であり忍容性は比較的良好であった。

多かった副作用(有害事象)を見てみましょう。

 

GLP-1受容体作動薬と同じく、やはり多いのは消化器症状でした。

吐き気とか嘔吐の頻度は結構高いね。
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
しかし、リラグルチドよりも多いという感じではなさそうですね。

 

また、ビクトーザやオゼンピックを使っている患者さんで、便秘で困っている方が結構多いのですが、

便秘、下痢の頻度はこんな感じでした。

リラグルチドよりはまし、かな?
モッさん
モッさん

 

その他の有害事象としては、注射部位の発赤が多く観察されたようです。

 

ちなみに、有害事象のため投与中止に至った例は、

cagrilintide 0.3mg:2人、0.6㎎:4人、1.2㎎:7人、2.4mg:6人、4.5mg:1人、リラグルチド3.0㎎:7人、 プラセボ:3人 でしたが、いずれも重篤な有害事象は認めませんでした。

副次評価項目であるHbA1c値と空腹時血糖値は、cagrilintide群では有意な変化を認めませんでした。(もちろんリラグルチド群では有意に低下)

減量治療薬としてセマグルチド2.4㎎とcagrilintideの併用試験も報告されている。

ちなみに、BMI27以上の肥満・過体重者に対してセマグルチド(オゼンピック)2.4㎎とcagrilintideを併用した試験(第Ib相試験)も最近報告されていましたが、cagrilitide2.4㎎との併用により、なんと17%の体重減少を認めました(Lancet 2021, 397;1736-1748)

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
新しい抗肥満薬がどんどん出てきていますね。今後楽しみですね!
ガジガジDr.
ガジガジDr.
(しかし今日はもう疲れたな… 僕も年賀状は戌年の時だけにしようかな…)

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Once-weekly cagrilintide for weight management in people with overweight and obesity: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled and active-controlled, dose-finding phase 2 trial. Lau DCW, Erichsen L, Francisco AM, Satylganova A, le Roux CW, McGowan B, Pedersen SD, Pietiläinen KH, Rubino D, Batterham RL. Lancet.398 2021 Dec 11;398(10317):2160-2172.

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