肥満、2型糖尿病では食後のインスリンクリアランスが低下する

なんだか毎日眠いんだよね。
もう春だからだね!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
モッさんは
年中寝ているような気がしますが。
先生はいつも冷たくてロボットみたいだわ!
エーアイくんのほうが優しくていい~
今日はエーアイくんと代わってよ!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
イライライライラ
エーアイ先生は今日はおやすみです!
今日は何の話?
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
今日はインスリンクリアランスの話です!
先生…冬のセールはとっくに終わったよ。
僕は「セレブ犬毛布」を今年のクリアランスで買ってもらったんだ!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
(…モッさんがセレブ犬?)

論文の概要

インスリンクリアランスってセールじゃないの?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
…。

わかりやすく言うと「食後に分泌されたインスリンの分解・除去にかかわる因子」を調べた研究です。

ガジガジDr.
ガジガジDr.
朝ごはんを食べると膵臓からインスリンが分泌されますよね。そのインスリンがどれだけ体から分解・除去されるか(=インスリンクリアランス)を色々な人について調べると、肥満の人や2型糖尿病の人ではインスリンがなかなか除去されない(=クリアランスが低下)状態になっているということがわかりました。さらにそこにグルカゴンというホルモンが大きく関わっているみたい、というのが今回の論文のポイントですね!

ふーん…

そのインスリンクリアランスが低下すると、何かマズいことが起こるの?

モッさん
モッさん

ガジガジDr.
ガジガジDr.
単純に言うとインスリンが体の中で滞留して高インスリン血症気味になるのですね。一見インスリンが長い間残るので血糖を下げてくれそうに思うのですが、むしろ色々な悪影響をきたす可能性があるようです。

研究の方法

  1. やせ型で血糖正常(Lean-NGT)
  2. 中心性肥満であるが血糖正常(Obese-NGT)
  3. 2型糖尿病(T2D)

それぞれの人に決まった朝食(混合栄養食:シリアル+牛乳)を食べてもらい食前と食後4時間まで血液を何度も採取し、血糖値やインスリン、Cペプチド、グルカゴンなどを測定しました。

混合栄養食って実際の普段の食事に近いからリアルなデータが出そうだね!
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうなんですよ!『経口ブドウ糖負荷』だと糖質しか摂取しないから通常の食事とはちょっと違いますよね。

実際の朝食を摂ったときのホルモン動態が調べられたのですね。

結果その1:インスリンと血糖の変化

ガジガジDr.
ガジガジDr.
結果です!

 

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
まず、太っていない正常人(Lean-NGT)は食後にインスリンの分泌がそこそこ上昇した後にインスリンクリアランスが上がります。このため血中インスリン濃度は過剰に上がり続けずちょうどいいバランスを保ちます
車の加速とブレーキが同時にうまく働いて、程よい速度で走ってる感じ?
まる
まる

ガジガジDr.
ガジガジDr.
いい例えですね!インスリン分泌が増加する際にクリアランスも上がって過剰になるのを防いでいるのですね。

一方、肥満の人(Obese-NGT)はインスリンの分泌は高いのに、食後にインスリンクリアランスがほとんど上がらないという結果でした。このためインスリンが血中に残りやすくなります。だけど血糖値はなんとか抑えられている状態ですね。

じゃあ、加速は強いけどブレーキは甘い感じだね
まる
まる
危ないじゃん!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そして2型糖尿病のグループはさらに複雑です。食後のインスリン分泌は上がるのに、クリアランスはほとんど上がらないか、むしろ下がってしまうという結果でした。血中インスリンが血中に多く残ってしまいますが血糖値は下がりません

 

全体のインスリンクリアランスの量を比較すると、Lean-NGTと比較してObese-NGTとT2Dの人では40%もクリアランスが低かったという結果でした。さらにこのクリアランスの違いには「グルカゴン」がどうも関連しているようです

 結果その2:グルカゴンの役割

グルカゴン?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
グルカゴンが高いほど肝臓でのインスリン分解(クリアランス)が低下する傾向が見られました。特に肥満や2型糖尿病だと食後にグルカゴンが下がらないか、むしろ上がってしまうようです。

グルカゴンって、本来は血糖値が低いときに肝臓からグルコースを放出させるホルモンだよね。なんでそれがインスリンクリアランスに関係するの?
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
実はグルカゴンが肝臓のインスリンクリアランスを阻害する可能性があるようです。

この研究によるとインスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)とグルカゴンの量はインスリンクリアランスを予測する主要な因子だと報告されていました。

まとめ

  1. 正常な人は食後インスリンが分泌増加しつつもクリアランスもキュッと上昇して、過剰な血中インスリンが残らず血糖も安定。
  2. 肥満や2型糖尿病では、このインスリンクリアランスがなかなか上がらない、もしくはむしろ下がってしまう。
  3. その原因の一つとして、食後も高いままのグルカゴンや遊離脂肪酸などが肝臓のインスリン代謝を阻害している可能性が高い。
  4. この状況が続くことにより血糖コントロールがさらに悪化、高インスリン血症による代謝異常、悪循環をきたす。

ガジガジDr.
ガジガジDr.

血糖値や血中のインスリン濃度は、インスリン分泌量だけでなく、グルカゴンや肝臓の状態により影響を受けるインスリン感受性(効き)やインスリン分解(クリアランス)が複雑に絡み合って変化するのですね!

興味深いですね!

うーん…

わかったような、わからなかったような…。

グルカゴンって色々な場面で出てくるけど、結局のところいいやつなのかワルなのかわかんないわ。

モッさん
モッさん

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Elevations in plasma glucagon are associated with reduced insulin clearance after ingestion of a mixed-macronutrient meal in people with and without type 2 diabetes.Smith K, Taylor GS, Peeters W, Walker M, Perazzolo S, Atabaki-Pasdar N, Bowden Davies KA, Karpe F, Hodson L, Stevenson EJ, West DJ.Diabetologia. 2024 Nov;67(11):2555-2567

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