あれ?モッさんは?
モッさん、最近元気なくて…
心配ですね…
あっ、モッさん!
どこか具合が悪いのですか?
ハアハア。
家でゴロゴロしているくせに。
クーラーにあたりすぎなんじゃないですか?
君たちみたいなケモノと違って、
僕はデリケートなんだ!
毎日暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
モッさんが夏バテしたせいで(?)、更新がすっかり遅くなってしまいました。
さて、今日は低血糖、高血糖や血糖変動が糖尿病患者さんに与える短期的な影響について、興味深い報告がありましたのでご紹介します。
長期(少なくとも年単位)の高血糖、低血糖や血糖変動の大きさが糖尿病患者さんに与える影響についてはある程度わかってきていますね。
糖尿病の合併症が進行したり、動脈硬化が進んだり、認知機能にも影響したり、色々なことが言われているよね。
たしかに短期的な影響ってどんなものがあるんだろう?しかも短期的ってどれくらいの期間?
1型糖尿病の人において、
夜間の高血糖、低血糖や血糖変動が翌日のパフォーマンスに影響を与えるのか調べられました。
本当に夏バテしてるんですか?
今回の研究では、
・1型糖尿病患者の夜間の血糖変動や低血糖、高血糖が翌日のパフォーマンス(認識力、身体活動、活動参加度、仕事負担感)に影響を与えたか?
・夜間血糖異常(高血糖や低血糖、大きな血糖変動)により翌日のパフォーマンスが低下した人では、低血糖による睡眠の質の悪化、中途覚醒、疲労感などが介在していたか?
・夜間血糖異常により翌日のパフォーマンスが低下した人では、Global illness intrusiveness(病に侵されている感覚)の認識や糖尿病関連のQOL低下を認めていたか?(本人が調子の悪さを自覚していたか?)
について、SEMを用いて検討されました。
少なくとも1年以上前に糖尿病を発症した18歳以上の1型糖尿病患者196人が対象となりました。
被検者は、グルコース値を見られないタイプの持続血糖モニター(アボット社:リブレプロ)と腕時計型の加速度計を14日間装着され、EMA surveyと認識力テストアプリなどがあらかじめダウンロードされたスマートフォンが貸し出されました。
CGMにより夜間の70mg/dL未満の低血糖時間、250mg/dL以上の高血糖時間、血糖変動指標(CV)が収集され、
活動量計により歩数などの身体活動量、睡眠時間、睡眠分断のデータが収集されました。
また、被検者はスマートフォン端末で認識力テスト、活動度の自己評価、糖尿病関連QOL、仕事負担感に関する質問票などに対する回答入力が毎日求められました。
さらに、夜間の睡眠の質(熟睡感)、疼痛、疲労感なども毎日聴取されました。
また、夜間の睡眠状況や疼痛、疲労感がこれらの因果関係をつなぐ因子となっているかも調べられました。
グーzzz.
この図の細かいことはよくわからないけど、SEMって(今回の研究でいえば)血糖、活動量とか認識力、睡眠の質、QOLなど、いろいろな因子を書き出してチャートを書くイメージの解析手法?
つまり、A→Bだけでなく、複数の因子間の関連(A→B→C、B→D→Eなど)を同時に分析できてしまうのがSEMの強みのようです。
まずは夜間の血糖変動、低血糖、高血糖と関連した翌日の各パフォーマンスが下表に示されています。
ちなみに、「注意力」はgo/no-goという条件反射力を試すようなテストで判定されました。「活動割合」は、休んでいる時間に対して働いている(仕事や家事、介護など)時間の割合と定義されていました。
夜間低血糖時間が長いと、翌日の「注意力」が低下してしまい、
夜間高血糖時間が長いと翌日の「情報処理速度」を低下させたり、「座っている時間」が長くなる結果だったんだね。
ちなみに「処理速度」は、Symbol search testで評価されました。
また、夜間血糖変動の大きさに起因する注意力低下では睡眠の断片化(中途覚醒)が介在していたという結果でした。
さらに、夜間低血糖と関連して翌日のパフォーマンスが低下していた人では、糖尿病関連QOLの低下やGlobal illness intrusivenessが認められました。
SEMはよくわかんないね。
夜間の血糖値は翌日の色々なパフォーマンスや活気に影響するのですね。
Impact of Overnight Glucose on Next-Day Functioning in Adults With Type 1 Diabetes: An Exploratory Intensive Longitudinal Study. Diabetes Care.46:1345-1353, 2023