夜間の高血糖、低血糖や血糖変動は翌日のパフォーマンスを低下させる

ガジガジDr.
ガジガジDr.
皆さん、お久しぶりです!
あれ?モッさんは?
それが…
モッさん、最近元気なくて…
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
体調悪いんでしょうか?
心配ですね…
あっ、モッさん!
はあ…。しんどい…。
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
大丈夫ですか?
どこか具合が悪いのですか?
あ、あ…
モッさん
モッさん
まる
まる
?!
ガジガジDr.
ガジガジDr.
!!
つい…。
ハアハア。
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
あ、
まる
まる
つい。
ガジガジDr.
ガジガジDr.
なんだ、夏バテですか。
家でゴロゴロしているくせに。
クーラーにあたりすぎなんじゃないですか?
うるさい!
君たちみたいなケモノと違って、
僕はデリケートなんだ!
モッさん
モッさん

 

毎日暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

モッさんが夏バテしたせいで(?)、更新がすっかり遅くなってしまいました。

さて、今日は低血糖、高血糖や血糖変動が糖尿病患者さんに与える短期的な影響について、興味深い報告がありましたのでご紹介します。

短期的な影響?
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
はい。
長期(少なくとも年単位)の高血糖、低血糖や血糖変動の大きさが糖尿病患者さんに与える影響についてはある程度わかってきていますね。
そうだね。
糖尿病の合併症が進行したり、動脈硬化が進んだり、認知機能にも影響したり、色々なことが言われているよね。

たしかに短期的な影響ってどんなものがあるんだろう?しかも短期的ってどれくらいの期間?

まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
今回ご紹介する研究は、
1型糖尿病の人において、
夜間の高血糖、低血糖や血糖変動が翌日のパフォーマンスに影響を与えるのか調べられました。
それは興味深いな!
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
1型糖尿病患者さんを対象として、「動的構造方程式モデリング」という手法を用いて行われた研究です。
トンテキコウゾウホタテシキポテロング?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
…おなかすいてるんですか?
本当に夏バテしてるんですか?
ムダに名前が長いんだよ!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
構造方程式モデリング(StructuralEquationModeling:SEM)は、潜在変数や多くの観測変数同士の関係性を同時に分析することができる統計的手法だそうです。

 

今回の研究では、

・1型糖尿病患者の夜間の血糖変動や低血糖、高血糖が翌日のパフォーマンス(認識力、身体活動、活動参加度、仕事負担感)に影響を与えたか?

・夜間血糖異常(高血糖や低血糖、大きな血糖変動)により翌日のパフォーマンスが低下した人では、低血糖による睡眠の質の悪化、中途覚醒、疲労感などが介在していたか?

・夜間血糖異常により翌日のパフォーマンスが低下した人では、Global illness intrusiveness(病に侵されている感覚)の認識や糖尿病関連のQOL低下を認めていたか?(本人が調子の悪さを自覚していたか?)

について、SEMを用いて検討されました。

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
研究方法についてまずお話ししますね。

 

少なくとも1年以上前に糖尿病を発症した18歳以上の1型糖尿病患者196人が対象となりました。

被検者は、グルコース値を見られないタイプの持続血糖モニター(アボット社:リブレプロ)と腕時計型の加速度計を14日間装着され、EMA surveyと認識力テストアプリなどがあらかじめダウンロードされたスマートフォンが貸し出されました

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
EMA(ecological momentary assessment)とは生態学的経時的評価といわれ、スマートフォン端末やアプリから患者に入力してもらうことでリアルタイムで患者データを収集する評価法のことです。

 

CGMにより夜間の70mg/dL未満の低血糖時間、250mg/dL以上の高血糖時間、血糖変動指標(CV)が収集され

活動量計により歩数などの身体活動量、睡眠時間、睡眠分断のデータが収集されました

また、被検者はスマートフォン端末で認識力テスト、活動度の自己評価、糖尿病関連QOL、仕事負担感に関する質問票などに対する回答入力が毎日求められました

さらに、夜間の睡眠の質(熟睡感)、疼痛、疲労感なども毎日聴取されました。

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
先ほど説明したように、夜間高血糖(>250mg/dL)時間、夜間低血糖(<70mg/dL)時間、血糖変動指標(CV)が、翌日の認識力、身体活動量、活動参加度に影響を与えるのか調べられました。

また、夜間の睡眠状況や疼痛、疲労感がこれらの因果関係をつなぐ因子となっているかも調べられました

ガジガジDr.
ガジガジDr.
SEMのシェーマが下図です。(全くわかりませんが)

 

矢印が、ひとーつ、ふたーつ、みっつ…。
グーzzz.
モッさん
モッさん
ああ、そうか!

この図の細かいことはよくわからないけど、SEMって(今回の研究でいえば)血糖、活動量とか認識力、睡眠の質、QOLなど、いろいろな因子を書き出してチャートを書くイメージの解析手法

まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
多分そういうイメージだと思います!

つまり、A→Bだけでなく、複数の因子間の関連(A→B→C、B→D→Eなど)を同時に分析できてしまうのがSEMの強みのようです。

 

ガジガジDr.
ガジガジDr.
結果です♪

まずは夜間の血糖変動、低血糖、高血糖と関連した翌日の各パフォーマンスが下表に示されています。

 

 

 

えっと、星のついているところが有意差があるんだよね。だから…
モッさん
モッさん
前夜の血糖変動が大きいと、翌日の「注意力」と「活動割合」が減ってしまったってこと?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうですね。
ちなみに、「注意力」はgo/no-goという条件反射力を試すようなテストで判定されました。「活動割合」は、休んでいる時間に対して働いている(仕事や家事、介護など)時間の割合と定義されていました。

 

その下を見ると…、

夜間低血糖時間が長いと、翌日の「注意力」が低下してしまい、

夜間高血糖時間が長いと翌日の「情報処理速度」を低下させたり、「座っている時間」が長くなる結果だったんだね。

まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうですね。
ちなみに「処理速度」は、Symbol search testで評価されました。
※Symbol search test:情報処理速度を評価するテスト。事前に見せた図のなかに、新たに与えられた図(シンボル)があるかどうか答えてもらい、その正確性と速さを評価する。

 

また、夜間血糖変動の大きさに起因する注意力低下では睡眠の断片化(中途覚醒)が介在していたという結果でした。

さらに、夜間低血糖と関連して翌日のパフォーマンスが低下していた人では、糖尿病関連QOLの低下やGlobal illness intrusivenessが認められました。

患者さん自身も調子の悪さを感じていたということかな…。
まる
まる

 

まとめると…、
モッさん
モッさん
夜間血糖は大切ってことはよくわかったけど、

SEMはよくわかんないね。

モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
確かにそうですね…。
(なんだ先生もわかってなかったのか)
モッさん
モッさん

 

夜間の血糖値は翌日の色々なパフォーマンスや活気に影響するのですね。


Impact of Overnight Glucose on Next-Day Functioning in Adults With Type 1 Diabetes: An Exploratory Intensive Longitudinal Study. Pyatak EA, et al. Diabetes Care.46:1345-1353, 2023

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