不整脈も減らすんだって。
血糖値を下げるだけでなく、心不全にも有効であることが明らかになっているSGLT2阻害薬ですが、不整脈のひとつである心房細動の抑制効果についても最近期待されています。
ダパグリフロジンというSGLT2阻害薬の心血管リスクについて調べられたDECLARE-TIMI 58という大規模臨床試験があるのですが、
その事後解析で、なんとダパグリフロジンを投与すると心房細動/心房粗動の発症リスクが下がったと報告されています。
さらに、2021年にpublishされたメタアナリシスにおいてもSGLT2阻害薬は心房細動を抑制したと報告されています。(Cardiovasc Diabetol 20, 100,2021).
SGLT2阻害薬が最初に使われるようになった時に、体液量の減少(脱水)により脳梗塞などが増えるのではないか?と懸念されました。
その後行われた多くの研究や臨床データより、体液量の減少については投与のごく早期には一時的に認められるものの、その後は元に戻ると考えられています。
SGLT2阻害薬によるGFRの変化についても様々な議論がなされました。
投与早期にGFRが少し低下する場合もあるが、腎尿細管へのストレス低減により、その後はむしろGFR低下速度が緩徐になり長期的には腎保護に働くと現在は考えられています。
しかし、SGLT2阻害薬開始後早期にGFRが大幅に低下する患者さんが確かに存在します。
11769人の2型糖尿病患者さんを対象に行われたChang Gung Memorial Hospital(台湾)のデータベースを用いて行われた研究では、SGLT2投与後早期(4~12週間)に、GFRが30%以上低下した人では、GFRが低下しなかった人(※)と比較して、心房細動の発症リスクが2倍以上になったとのことです(Diabetes Obes Metab. 2021;1–13)。
また、心血管イベントや心不全、複合腎イベントに関してもリスクが軽度上昇したと報告されています。
※SGLT2阻害薬を投与されていない人と比較している研究ではありません。
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