コロナウィルス感染による重症化の一因として、免疫細胞の減少が推測されている。
新型コロナウィルス感染により重症化するメカニズムのひとつとして、免疫細胞の減少が言われています。
さらに、糖尿病患者さんではB型肝炎ワクチンなど一部のワクチンに対する免疫応答が弱い可能性が指摘されています。
HbA1c>7%の糖尿病者では、非糖尿病者やHbA1c<7%の糖尿病者と比較して、新型コロナワクチンに対する免疫反応が低かった。
イタリアで行われた前向き観察研究をご紹介します。
2020年12月にCampania vaccination programmeで新型コロナワクチンを受けた医療、教育機関従事者1123人のうち、除外基準を満たした578人が対象となりました。
接種されたワクチンは、71%がファイザー社製、12%がアストラゼネカ社製、12%がモデルナ社製でした。
578人のうち、327人が非糖尿病であり、134人がHbA1c≦7%の糖尿病、117人がHbA1c>7%の糖尿病を持つ人でした。
対象者に2回のワクチン接種が行われ、非糖尿病、HbA1c≦7%の糖尿病、HbA1c>7%の糖尿病患者さんのあいだで、2回目接種後21日と52日における中和能とCD4陽性T細胞/サイトカイン(TNF-α、IL-2、IFN-γ)比が比較されました。
私だって頑張って読んでいるのですから、モッさんも文句言わずに見る!
赤色が非糖尿病群、緑がHbA1c<7%の糖尿病群、青がHbA1c>7%の糖尿病群です。
モッさんの言う通り、青色であらわされているHbAc>7%の糖尿病群では、ワクチンに対する免疫反応指標が低下していますね…
さらに、ベースライン(接種前)のHbA1cと中和能やCD4+産生率との相関についても調べられています(下図)。
HbA1cが高いほど免疫反応指標が低いという結果でした。
血糖コントロールの改善により、低下していたワクチンに対する免疫反応が回復した。
さらに、血糖コントロールがよくなれば、ワクチンに対する免疫応答が回復するかということについても調べられています。
血糖が改善することにより低下していた免疫応答が回復する可能性があるということですね。
注:糖尿病患者さんではワクチンの効果がない(効果が低い)ということではありません!
今回の研究ではワクチンによる免疫反応指標を比較していますが、血糖値が高めの糖尿病患者さんではワクチンの効果が下がるということを示した研究ではありません。
このため、糖尿病患者さんではワクチンの効果がない、または効果が低いということは決してありませんのでご注意ください。
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Does poor glycaemic control affect the immunogenicity of the COVID-19 vaccination in patients with type 2 diabetes: The CAVEAT study. Diabetes Obes Metab. 2021.Sep 8. doi:10.1111/dom.14547. Online ahead of print.