GLP-1受容体作動薬であるオゼンピック(セマグルチド注射薬)による、食欲や嗜好の変化について、以前にご紹介しましたね。
もう1週間もしないうちに、セマグルチド経口薬(飲み薬)であるリベルサスが2型糖尿病患者さんに対して使用できるようになりますが、リベルサスによる食欲の変化や食の嗜好はどのように変わるのか、気になるところですね。

2型糖尿病患者にリベルサスを投与すると、食事、おやつの摂取量が減少した。
これは、2型糖尿病患者15人を対象として行われた、二重盲検のクロスオーバー、プラセボ比較試験です。
参加者のうち13人 (86.7%)が男性で、平均年齢は58.2歳、平均体重は93.9㎏(BMI 30.8)、HbA1c は 6.9%でした。
参加者には、リベルサス3㎎(0~4週)、7㎎(4~8週)、14㎎(8~12週)もしくはプラセボを内服してもらい、実際の食事量や嗜好の変化が調べられました。
副作用としての胃腸障害が出現しにくいように、少しずつ内服量が増えるデザインですね。
朝食は、全員同じカロリーの食事が提供されますが、昼食と夕食、その後のおやつについては、カフェテリア形式で好きなものを好きなだけ摂取できるデザインになっています。
僕は、シーザーのラム肉をお腹いっぱい食べてみたい…




さて、Mossanたちではなく、参加者の1日摂取エネルギーについては下図の結果でした。



12週間で、平均2.7㎏の体重減少が認められました。

リベルサス内服により、食の嗜好が変化した。
自由に食べられるおやつの内容を、甘さと脂肪量により分類して、リベルサス内服による変化を調べたのが下図です。

統計学的に有意差があったところに*印をつけています。
なんと、「甘いもの」と「高脂肪」のものの摂取量が、リベルサス内服により減ったのです。


注射薬のセマグルチド(オゼンピック)だけでなく、リベルサスも、食事療法とともに正しく使用することができれば、糖尿病患者さんの体重コントロールの強い味方になりそうですね。
ただし、この薬は起床時(空腹時)の服用が必要であり、内服後30分は飲んだり食べたりしてはいけません。
ペプチド構造をもつ本薬剤を、消化管から吸収させるのが非常に難しいため(このため、注射薬しかなかったのですね)、正しく服用しても、リベルサスのバイオアベイラビリティ(薬剤が血中に到達して利用される比率)は、たった1%にすぎません。
このため、用法を守らないと、薬剤の吸収がさらに低下して、効果がほとんど期待できなくなってしまうのです。



Effects of oral semaglutide on energy intake, food preference, appetite, control of eating and body weight in subjects with type 2 diabetes. Diabetes Obes Metab.23:581-588,2021
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