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運動療法により血糖値を改善させるためには、週の半分以上、30分以上のウォーキングをまず目標に
食欲の秋ですね!今日、ちょっとだけ梨をもらいましたよ。おいしかった!
いえ、運動の秋です。
運動は、糖尿病患者さんの血糖値をよくしたり、健康を守るために非常に大切ですね。
でも、どんな運動をどれくらいすればよいのでしょうか?
運動って、なにをしたらいいの?
まずはウォーキングがおすすめです。もちろん楽しく続けることが一番なので、好きなスポーツがあればそれがいいですね。
どれくらいウォーキングしたらよいのですか?(多分しないと思うけど)
少しでも効果はあります。でも、運動で血糖値を下げようと思ったら、週3-4回、30分以上の歩行を目標にしてください。
毎日じゃなくてもいいの?
毎日のほうがもちろんよいですが、運動の効果は翌日までは続くので、1日おきでも運動の効果は持続しますよ。
運動による血糖改善効果には、急性効果と慢性効果がある。運動の最中だけでなく、その翌日までは、運動による効果が持続する。
運動による血糖改善効果には、急性効果と慢性効果があります。
つまり、運動している最中は血糖値を下げる効果(急性効果)がありますが、
運動後も、その翌日までは血糖値を下げたりインスリン感受性をよくする効果が続くのです。
このため、運動は血糖値の上がりやすい食後に行わないと意味がない!ということは全くありません。いつでも、行いやすいタイミングで運動すればよいのですね。
今より1日2000歩余分に歩けば、糖尿病薬1剤と同程度の血糖改善効果が期待できる。
また、今よりも1日2000歩余分に歩いた場合、HbA1cが0.7%低下するという報告があります。
糖尿病薬を1種類追加した場合、HbA1cが0.7~1%程度低下することが多いですので、飲み薬をひとつ増やす代わりに運動してHbA1cを下げることができるかもしれません。
歩行は免疫能を活性化させ、風邪などの感染症リスクを下げる。
僕、風邪ひきやすいんだよね
たしかによく鼻垂らしてますよね…
散歩したら風邪も引きにくくなる?
もちろんです!!
ウォーキングなどの運動は、免疫能を活性化させ、炎症性サイトカインを抑制し、風邪などの感染症にかかりにくくなることが分かっています。
これも、急性効果と慢性効果があり、毎日もしくは1日おきに歩いている人の方が、時々歩く人よりも、その効果が高くなります。
運動強度と免疫能の関係はJカーブ ~高強度・長時間の運動は逆に感染リスクを上げる~
一方で…
実は、運動強度と免疫能の関係はJカーブと言われています。
ウォーキングなどの軽~中強度の運動は免疫能を上げるのですが、高強度かつ長時間の運動は、むしろ免疫能を低下させることが報告されています。
下図は、風邪などの上気道感染症のリスクと運動強度の関係をみたグラフです。Jカーブですね。
歩行などの運動では感染のリスクを40~50%下げる一方で、フルマラソンのような高強度の運動は感染リスクを2~6倍上げると考えられています。
僕も走らないようにしよう。
勘違いしないでください!体や精神的に強いストレスがかかるほどの高強度の運動を長時間続けた場合、という意味です。あまたはどんどん走ってください。
日常診療で実感することですが、歩行習慣がある患者さんは、体も心も元気で前向きな方が多いです。
歩行により筋肉量が維持され、筋肉の質も良くなることで、血糖値だけでなく、脳細胞や感情(気持ち)にもよい影響を与えるのだと思います。
Nieman DC, Wentz LM. et al. The compelling link between physical activity and the body’s defense system.J Sport Health Sci 2019;8:201-17.
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