春は気持ちが引き締まりますね!
ああ、ネコに生まれたかった…
さて、新年度1つめの論文いきましょう♪
糖尿病専門犬には寄り添う心が必要なんだぞ!
糖尿病の発症時にはすでにインスリン分泌能がかなり低下している
糖尿病の発症前より膵β細胞(インスリンを分泌している細胞)の働きは少しずつ低下し、発症時にはすでに正常の50%程度となっており、その後年間4%位のスピードで低下するのではないかと一般に考えられています。
発症後の年数やHbA1cがインスリン分泌能の低下スピードと関連しているかを調べたのが今からご紹介する研究です。
ドラッグナイーブの2型糖尿病患者全体におけるインスリン分泌能は発症時に66%まで低下しており、その後3.8年で39%までさらに低下した。
2型糖尿病とIGT(耐糖能異常)の人を対象として行われた15の臨床研究(第2,3,4相)より、罹病期間が10年以下であった12723人を対象として行われたpost-hoc解析をご紹介します。
対象者の罹病期間、HbA1cなどのデータが収集され、HOMA2であらわされるインスリン分泌能との関連が調べられました。
今回の解析にはその人が参加した研究の開始時に測定されたデータ(ベースラインデータ)が用いられました。つまり、各患者さんのインスリン分泌の経過を追った研究ではなく各患者さんにおけるワンポイントのデータをまとめた横断研究になります。
まず糖尿病薬を使用したことがない(ドラッグナイーブ)2型糖尿病患者6706人において、発症後の年数とインスリン分泌指標(HOMA2B)との関係が調べられました(下図)。
この論文では”β-cell activity(β細胞機能)”と表現されていますね。
つまりHOMA2-Bは基準(正常)を100として換算した値です。
次に、同じ対象者をHbA1cの値により4群に分けて同じ解析が行われました(下図)。
HbA1c<7%であるドラッグナイーブの2型糖尿病の発症時β細胞機能は98%と保たれていたが発症後3年間で59%まで低下した
(モッさん今日はやる気あるな!)
もうひとつ気づいたことはないですか?
線が4本あるね。
色も4色あるね。
HbA1c<7.0%の群では、発症時点のHOMA2-B(インスリン分泌指標)は98%とほぼ正常だったのですが、発症後3.3年で59%まで低下しその後はだいたい年1.7%くらいのスピードで低下していました。
すなわち、HbA1c<7.0%と良好な値であっても最初の3~4年で急激な分泌低下が認められるという結果でした。
一方、HbA1c7%を超える群(赤、橙、黄)では発症時にすでにインスリン分泌能は半分程度まで低下していました。
次に、糖尿病薬を使用している人(主にメトホルミン?)も含めたすべての糖尿病患者さんについてまとめられたのが下図です。
β細胞を保護すると考えられているいくつかの糖尿病薬やその他の早期のアプローチによりこの発症前後のβ細胞機能の低下が抑えられることが期待されており、色々な研究が現在進められています。
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Beta-cell function in treatment-naïve patients with type 2 diabetes mellitus: Analyses of baseline data from 15 clinical trials. Diabetes Obes Metab. 25:1403-1407,2023