コタツに潜り込んで(ウキウキ)みんなはなにする?
Bionic pancreasは体重を入力するだけで自動的にインスリン注入量が自動設定、調節されるインスリンポンプ
こたつに入って論文読んでたら1分以内に寝られそうですね….。
さて、今日はインスリンポンプに関する論文のご紹介です。
それはもう知ってるよ~
Bionic pancreasはHCLと同じく血糖値に合わせてインスリンが自動調節されるインスリンポンプです。
そのなかにHCL(ハイブリッドクローズドループ)ポンプや今回ご紹介するBionic pancreasが含まれます。
ただし、Bionic pancreasのさらに優れた点は…
ユーザーがしなければいけないことは、体重の入力(初期設定として)と食事のアナウンスのみです。
すなわち、食事時のボーラスインスリン量を考えなくていいんです。
「今から食べるよ」というボタンを押しさえすれば機器がユーザーの代わりにインスリン注入量を考えて、自動で入れてくれるんです。
HCLポンプの場合、食事の前には今から食べる(であろう)炭水化物量を見積もって(カーボカウント)それに合わせたインスリン注入を行うことが求められます。
これはあくまでポンプユーザーが行わなければなりません。
その後、予想外に血糖値が変化した際には機器がインスリンを追加注入したり、減らしたりして血糖値を調節してくれる仕組みになっています。
Bionic pancreasはユーザーが食事時のカーボカウントを行いボーラス量を決定する必要はありません。
食べる前に、目標血糖の選択(普通・高め・低め)、食事の種類(朝食・昼食・夕食)、食事量(多め・普通量・少なめ)のみ選択すれば、ボーラスインスリン量も機器が決定して注入してくれるのです。
また、体重の情報を基に基礎インスリンも自動で決定されます。
Bionic pancreas とStandard careの比較試験では、Bionic pancreas群でよりHbA1cが低下した(低血糖は有意差なし)。
6歳以上の1型糖尿病の人を対象として行われたランダム化比較研究です。
対象者をBionic pancreas群とStandard care群(2:1)に分けて、
13週後のHbA1c(主要評価項目)と低血糖時間(副次評価項目)が比較されました。
スタンダード群の治療法は、それぞれの人が今まで行っていた治療法を継続するというものでした。
31%がHCLのポンプ、4%がPLGS機能つき(低血糖を予測してインスリン注入が中断される)のインスリンポンプ、34%が自動調整機能がないインスリンポンプ、34%がインスリン頻回注射法でした。
Bionic pancreas群は219人、スタンダードケア群は107人でした。
よくわからんわ。
例えば、Bionic pancreas群の80%の人ではTIR60%以上ですが、Standard care群では40%くらいにとどまっていますね。
Bionic pancreasではユーザーによる設定調整やカーボカウントが不要ですので、1型糖尿病患者さんの心理的な負担も少し軽減されるかもしれません。
Bihormonal bionic pancreasはインスリンとグルカゴンで血糖を制御する
2種類のホルモンで血糖値を調節する人工すい臓です!
高血糖になりそうな時はインスリン注入、低血糖になりそうなときはグルカゴン注入を増やして血糖値を調整するのです。
下図はBihormonal bionic pancreasのイメージ図です。
上の段にある血糖値の変化に応じて、インスリンとグルカゴン注入量が細かく変化していますね!
インスリンだけの人工すい臓よりこっちのほうがいいの?
2種類のホルモンを使ったポンプの方が低血糖が少なかったというメタアナリシスがあった気がします。(Diabetes Obes Metab. 2022; 24:1967)
モッさん「なるほど」ばかりですね。
Multicenter, Randomized Trial of a Bionic Pancreas in Type 1 Diabetes.N Engl J Med. 2022. PMID: 36170500 Clinical Trial.