今日(3月4日)は、僕がナニワから神戸にやってきた日なんだよ。
だから僕の名前はモッさんっていうんだよ。
「桃の節句」のモは、モッさんのモ、なんだよ。(ファンのみんなはメモしておいてね)
糖尿病患者さんの5人に1人が貧血を合併している
さて、モッさんの血の気はいつも多そうですが、今日は貧血のお話です。
糖尿病患者さんでは貧血が多いことが知られています。
貧血を起こす原因に鉄欠乏や腎臓病などがありますが、同じ貯蔵鉄の濃度、同じ腎機能の糖尿病と非糖尿病の人を比べると、糖尿病の人のほうが2~3倍も貧血が多いことが報告されています。
腎臓の問題?
腎臓からエリスロポエチン(EPO)という造血を促すホルモンが分泌されているのですが、
アルブミン尿排泄がない(腎症1期)糖尿病患者さんと比較して、GFRの低下がなくてもアルブミン尿あり(腎症2期)の人では約4倍、顕性蛋白尿あり(腎症3期)の人では約12倍、貧血のリスクが上がるという報告もあります。
糖尿病患者さんの貧血は予後にも強く影響しますので非常に重要な問題です。
SGLT2阻害薬は貧血抑制効果を有する
さて、SGLT2阻害薬は血糖値を下げる薬剤ですが、この薬剤を使用している人ではヘモグロビン値が上がる(貧血になりにくい)ことが多くの研究よりわかってきています。
糖尿病内科外来に通院中の糖尿病患者さん2063人を対象とした、後ろ向き観察研究です。
対象者のうち、SGLT2阻害薬を内服しているのは723人、内服していないのは1340人でした。
まず、SGLT2阻害薬を内服している人と内服していない人における、GFRとヘモグロビン値の関係が調べられました。
さらに、SGLT2阻害薬を内服している人と内服していない人における、GFRと貧血の有病率との関係が調べられていました。
(男性:ヘモグロビン値<12.0 g/dL 女性: <11.0 g/dLを貧血と定義されています。)
貧血に関連しそうな因子の影響を取り除くために、年齢と性別、GFRをマッチさせた197人ずつの患者さんを対象としたケースコントロール研究も行われてました。
さらに、貧血に関連する可能性がある因子(糖尿病の罹病期間、BMI、喫煙、高血圧、心不全、心血管疾患、癌、化学療法、降圧薬、アスピリン、糖尿病薬、インスリンなど)で調整後、SGLT2阻害薬内服により貧血発症のリスクが72%減少(オッズ比0.28 CI:0.10-0,81)するという結果でした。
(また、SGLT2阻害薬による貧血の改善にはCRPや血清アルブミン、RDWなどの値は関連していなかったため、炎症などを介してヘモグロビン値が上がっているわけではないと考察されていました。)
それより、モッさんって女の子なのでしょうか?
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今日は名古屋市立大学の先生らによる研究をご紹介しました。非常に興味深い報告でした。
Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors and anemia among diabetes patients in real clinical practice. J Diabetes Investig. 2021 Nov 19. doi: 10.1111/jdi.13717. Online ahead of print.