良好な血糖コントロールを保つことと、COVID-19を発症した時に使用している糖尿病薬をどうすべきか知っておくことが大切です
糖尿病患者さんでは、新型コロナウィルス感染症にかかりやすい、重症化しやすいのでは、と言われていますね。糖尿病を持つ方は、非常に緊張した日々を過ごされているのではないでしょうか。
確かに、糖尿病患者では、COVID-19(新型コロナウィルス)感染による致死率が2倍程度まで上がるというイタリアの報告もあります。
しかし、(糖尿病合併症がかなり進行している場合を除けば)良好な血糖コントロールを保ってさえいれば、COVID-19の感染や重症化リスクはかなり低下すると考えられています。
感染予防、重症化予防のために、糖尿病患者さんが取り組むべき最も重要なことは、良好な血糖コントロールを達成する、維持することです。
血糖コントロール不良は免疫力の低下を引き起こし、ウィルスや細菌に感染しやすくなることがはっきりと証明されているからです。
糖尿病の専門家らにより発表されたレビューにおいて、COVID-19に対して糖尿病患者さんが留意すべきポイントについて、具体的に述べられていたので紹介します。
①血糖コントロールの目標(感染予防のため、および感染時)
*HbA1c:7%以下
*FGMやCGMでグルコースモニターを行っている場合
70~180mg/dLの範囲を治療域(目標とする範囲)と考える。
- TIR :Tine in range(70~180mg/dLに収まっている時間)を70%以上に
- TBR :Time below range(<70mg/dLの時間)を5%未満に
➁感染時の糖尿病薬:薬剤と状況により個別対応(すべて中止すべきではない!)
COVID-19に感染して症状がある場合
SGLT2阻害薬とメトホルミンは、中止が推奨される。ただし、中止により血糖値が上がる可能性があるので、その場合は治療薬の変更が必要。
※メトホルミンを内服している患者さんでは、COVID-19の重症化リスクを下げるかも?と期待されており、研究がすすめられていますが、発熱や体調不良など症状がある場合は、ケトアシドーシスの命にかかわる副作用を引き起こす場合があるので、感染後は中止するのが無難です)
その他の薬剤はケースバイケースであるが、血糖値が急激に上がらないように継続したほうがよい場合も多い。
インスリン注射は、単位数の調整を行いながら必ず継続すること。
③感染時は糖尿病ケトアシドーシスに注意
COVID-19感染が、膵臓のβ細胞にダメージを与えて糖尿病ケトアシドーシスを引き起こす報告があるため、(血糖測定器を持っている患者さんは)血糖値をまめにチェックすること。
④降圧薬は継続が望ましい(ACE阻害薬、ARB )
(多くの糖尿病患者さんが内服している薬剤です)
ACE阻害薬とARBの内服により感染リスクが上がる可能性が懸念されているが、現時点ではそのようなデータはない。
逆に、これらの薬剤は重症化の要因となる肺損傷を抑制する働きがあるという説もあり、これらの薬剤とコロナウィルス感染症との関連は未だ明らかになっていない。
このため、欧州高血圧学会(ESH)、国際高血圧学会(ISH)、欧州心臓病学会(ESC)でも、これらの降圧薬を中止しないよう注意喚起を行っており、糖尿病患者でも同様に継続が推奨される。
何よりも糖尿病治療を継続すること、良い血糖コントロールを保つことが大切です!
Practical recommendations for the management of diabetes
in patients with COVID-19. Bornstein SR, et al. Lancet Diabetes Endocrinol 23: S2213-8587, 2020
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