リブレを続けたいけど…(リブレによる接触性皮膚炎について)

フリースタイルリブレとは

フリースタイルリブレってご存知でしょうか?

少し前に、メディアでも大きく取り上げられていたので、ご存知の方も多いと思います。

腕に、500円玉くらいの小さなセンサーを張り付けておいて、そこに小さな機械をかざすと、瞬時に予測した血糖値を画面に表示してくれる画期的なデバイスです。

細かい条件があるのですが、ざっくりいうと、1日2-3回以上のインスリン注射をしている患者さんでは、保険診療でリブレを使用することができるので、当院でも使用している患者さんは結構多いです。

(インスリン治療を行っていない場合も、細かな血糖推移を見るために、時々装着している患者さんもいらっしゃいます。)

1日何回でも(10回でも100回でも!)かざせば予測血糖値を出してくれるので、血糖コントロールの強力なサポーターになります!

しかも、今上がっているか、下がってきているかも教えてくれるのが、このデバイスのすごいところですね。

今の血糖だけでなくて、血糖の向かう先が知りたいところですよね。

でも、

この素晴らしいデバイスにも弱点がいくつか、、

リブレの弱点① 血糖値との乖離

ひとつは、実際の血糖値と結構ずれることがあること。

特に、低血糖や、高血糖の時にずれちゃうんですよね、、なので、あれっ?と思ったら実際に測定しないといけません。(特に低い時)

また、装着して1日程度は安定しないので、夜間など低めに出る傾向があります。外れかけている時も、低めに出ます。

あくまで、「傾向」を見るツールだと割り切って使用しましょう。

リブレの弱点➁ シールの成分に対する接触性皮膚炎

「続けたいけど、皮膚が、、(泣)」という患者さんが、結構います。

日本人の肌は薄くて敏感だから、欧米に比べて皮膚のトラブルが多いと言われていますが、実は欧米でも困っているようです。

リブレによる皮膚トラブルについての研究がありましたので紹介します。ベルギーの研究です。

フリースタイルリブレを装着した1036人の皮膚の状態を見ると、結構多くの患者さんで皮膚障害が起こっています。

どれくらいの患者さんで皮膚のトラブルが起こったでしょうか?

なんと57人(5.5%)の患者さんで皮膚トラブルがあったそうです。そのうちの半分以上が、シール部分のIBOA(isobornyl acrylate)という成分に対するアレルギー性の接触性皮膚炎だったそうです。

私の経験上、我が国でトラブルに悩んでいる人の割合はさらに高いと思います。

実際にリブレを装着して皮膚トラブルが起こってしまった患者さんで、IBOAの皮膚テスト(パッチテスト)を行い、やはり陽性であったという日本の報告もあります。

 
Gajigaji Dog

これはつらそうです…

皮膚を保護するための保護膜形成剤(リモイスコード、キャビロンなど…)が、症状を軽減させることがあり、当院でも皮膚トラブルがある方には試して頂いていますが、残念ながらあまりよくならない方も結構多いです。

この論文にも同じく「効果がない人も多い」と記載してありました。

他には、針穴のところのみ開けたキズパワーパッドをまず皮膚に貼って、その上にリブレを装着したり、シールそのものをなるべく小さく切ってしまい、バンドなどで固定したり…などの方法で対策している場合もあります。

それでも、リブレは血糖管理にはかなり役立つデバイスであることは否めません。

Prevalence and Prevention of Contact Dermatitis Caused by FreeStyle Libre: A Monocentric Experience. Pyl J, et al.Diabetes Care. 43: 918-920, 2020

Yusuke Mine et al.Allergiccontact dermatitis caused by isobornyl acrylate when using the FreeStyle Libre. J Diabetes Investig 10: 1382–1384,2019

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