インスリンの効きが悪い時に、まず疑うべきこと5つ

インスリンユーザーの皆さん、「最近、インスリンの効きが悪いな…」と思うことはないでしょうか?効きが悪くなる、よくある原因についてお話ししたいと思います。

①インスリンボール

インスリンって、それぞれの患者さんにとって、打ちやすい場所がありますよね。利き手によっても、打ちやすい場所は違ってくると思います。

しかし、なんとなく同じような場所に打ち続けると、その部分の皮下組織が固くなって、インスリンの吸収が落ちることにより、効きが悪くなります。

血糖を下げる効果が半分以下になってしまうこともよくあります。

それだけでなく、血糖が非常に不安定になります。予想外に上がったり、下がったり… これはとても困りますね…)

また、硬くなっている場所は、注射しても痛くないので、無意識のうちに、またそこに打ってしまうという悪循環をきたします。

まず、皮膚の上から色々な場所を押してみて、硬くなっているところがないかセルフチェックしてみてください。慣れていないと自分ではわからないことも多いので、主治医や医療スタッフにも見てもらうとよいと思います。

打つ場所を変えるだけで、必要なインスリンの単位数が半分以下になったり、予想外に乱れていた血糖値が安定する患者さんは結構多いです。

但し、今まで同じようなところに打っていた患者さんで、注射場所を変える時は、まず主治医に相談をしてくださいね(急激に血糖が下がるリスクがあるので)。

➁太った。動く量が減った。

地味なことのようですが、驚くほど効きが悪くなります。

コロナウィルス感染症による外出自粛で運動量が減って、インスリンの効きが悪くなっている患者さんも多いかもしれません…

③質の悪いインスリン抗体

インスリン治療により、かなり多くの患者さんでインスリン抗体が産生されるのですが、通常は抗体ができても特に問題は起きません。

但し、ごくまれに、血糖に影響する質の悪い抗体ができてしまうことがあります。

こればかりは、検査しないとわからないのですが、質の悪い抗体がある場合は、特徴的な血糖のパターンになることが多いです。

極めてざっくり言ってしまうと、「日中の高血糖と、朝方の低血糖を繰りかえす」です。

但し、単純にインスリンの単位数が合っておらず、このようなパターンになることもありますので、まずインスリンを調整しても、このパターンが続く場合は、抗体のチェックをしてみてもよいかもしれません。(抗体結合率70%以上の場合は疑わしいですね)

④月経周期

月経周期による女性ホルモンの変化により、インスリンの効きはかなり違ってきます。

特に1型糖尿病患者など、インスリン分泌がかなり低下した患者さんでは、月経周期を意識して、インスリン量を調整することが、良い血糖コントロールにつながります。

一般的には、排卵~月経開始くらいが、インスリンの効きが悪く、いつもの1.2~1.5倍くらい必要量が増える場合が多いです。患者さんによっては、2倍くらいに増量が必要なこともあります!

⑤体調不良(シックデイ)

「体調が悪くて、全然食べられないのに、血糖はなぜか高い」

ということを経験されたことはないでしょうか。

発熱や体調不良により、体から血糖を上げるホルモンやサイトカインが多く分泌され、血糖は上がります。

この時に、インスリンをどれくらい増やしたらよいかについては、患者さんや病状により変わってくるので、一概には言えないのですが、2倍程度必要になることも少なくありません。

体調の悪い時は、まめに血糖測定を行い、どれくらい上がっているのか知ることが大切ですね。

さらにコアな情報を知りたい方は ~ガジガジ糖尿病Meeting~

 

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