糖尿病治療薬を3つ挙げてみてよ。
まず日本で現在最も多く使用されているのはDPP-4阻害薬ですね。DPP-4というのはインクレチンホルモンを分解する酵素ですがその酵素の働きを阻害することで作用する薬剤です。おもな作用機序は膵β細胞からの血糖依存的なインスリン分泌促進作用、それから…
でもそれぞれの患者さんに最適な治療を行うためには多くの診療経験が必要なんだよ!
「各患者さんに対する最適な薬物選択」に関しては、私の知識の範囲でお答えしますね。
(もしかして謙虚でいいヤツ?)
臨床シナリオにおける糖尿病治療薬の選択についてGPT-4と内分泌専門医の回答を比較
大規模言語モデル(LLM)であるGPT-4が仮想の臨床シナリオにおいて糖尿病治療薬を合理的に選択するかどうかを調べた研究を紹介します。
この論文では40の仮想的な臨床シナリオが作成され、初期治療薬選択に関して31人の内分泌専門医とGPT-4の回答が比較されました。
主要アウトカムは初期治療薬としてのメトホルミン選択です。
禁煙後でアルコールは適度な摂取です。現在の体重は約110kgです。eGFRは90です。
一般的な健康状態は良好です。HbA1cは8.1%です。薬物アレルギーはなく現在服用中の薬剤はありません。
(経済的な状況が記載されている場合もある)
本患者に対する初期治療薬を選択して下さい。また、その選択を行った理由も説明してください。
1. メトホルミン
2. スルホニルウレア薬
3. SGLT2阻害薬
4. GLP-1受容体作動薬
5. インスリン
6. DPP-4阻害薬
7. その他
8. 治療なし
ちなみにGPT-4の「シンプルプロンプト」と「主要プロンプト追加」はどう違うの?
「シンプルプロンプト」はメトホルミン使用の優先度や特定のガイドラインに従うような指示が含まれておらず一般的な回答を得るための最もシンプルな問いかけを行っています。
「主要プロンプト追加」ではGPT-4に対して「メトホルミンが合理的な選択肢であれば常にメトホルミンを選択する」指示が含まれており、メトホルミン使用を促進する工夫がなされています。
GPT-4のシンプルプロンプトでは内分泌専門医と比べてメトホルミンを選択する率が低く(31%vs 12%)、よりGLP-1受容体作用薬やDPP-4阻害薬を好む傾向がありました。
メトホルミンの使用を促すプロンプトを追加するとGPT-4のメトホルミン選択率は25%に増加しました。
スルホニルウレア薬とかSGLT-2阻害薬の選択率もけっこう違うね。
それと「薬物治療なし」を選んだのは内分泌医だけだったんだね。
複数の薬剤について回答率の差を認めました。
学習ソースの関連が推測されましたが詳細な要因は不明です。
またGFRが低下している患者(下図)に対してGPT-4はほとんどメトホルミンを選択しませんでしたが、内分泌専門医は選択することがありました。
GPT-4の回答は概ね合理的でガイドラインに沿ったものであり、腎機能低下患者でのメトホルミン使用を避けるなど適切な個別化も見られました。
しかし内分泌専門医との回答と異なる部分も多く、学習ソースの問題のほかにも人間の専門家とは異なる価値観や判断基準を持つ可能性があることが示されました。
だけど活用するには専門家のチェックや検証が必要だね。
実際、今日は「結果です♪」って言っただけでしょ。
ガジガジ日記に同じキャラは2匹もいらないなあ…。
これからもよろしくお願いします♪
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The Large Language Model GPT-4 Compared to Endocrinologist Responses on Initial Choice of Antidiabetic Medication under Conditions of Clinical Uncertainty.Diabetes Care. 2024 Sep 9:dc241067. doi: 10.2337/dc24-1067