アウィクリ(週1回の持続型インスリン)~効果・安全性・作用動態の総まとめ!~

ガジガジDr.
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皆さん、週1回の持続型インスリンであるイコデクを覚えていますか?(ウキウキ)
先生上機嫌だね

もしかして、もう少ししたら使えるようになるの?

まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうなんです!イコデクがそろそろ使えるようになりそうです!
ガジガジDr.
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「アウィクリ」という製品名になるようです!
ガジガジDr.
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ということで、今日はアウィクリに関する臨床試験を振り返ってみたいと思います!

ONWARD1-5試験 ~2型糖尿病に対してイコデク(アウィクリ)の有効性と安全性を評価した第3相試験~

 

ガジガジDr.
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ONWARD試験はイコデクの血糖降下作用と安全性を検証した第3相臨床試験のシリーズですね。

まず各試験の特徴を簡単な表にまとめてみました(モッさんが勉強していないと思うから)

そういう時だけ僕の名前出すのやめてもらえますか?
モッさん
モッさん

 

 

試験の主要評価項目はベースラインからのHbA1cの変化であり、

副次評価項目として、低血糖をはじめとする安全性、体重変化などが比較されました。

一部の試験では持続血糖モニターによる血糖コントロール指標(TIR,TAR,TBR)も評価されました。

5までか…。

僕は6が好きなんだよ。6はないの?

モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
あります。ONWARD6は1型糖尿病患者さんを対象にイコデクを投与した臨床試験です。
あるのかよ!
モッさん
モッさん

 

ONWARD試験のメタ解析 ~イコデク(アウィクリ)は1日1回投与の基礎インスリンと比較して、低血糖を増やさず高い血糖降下作用を認めた~

ガジガジDr.
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さて、ONWARD1-5参加者3765人(イコデク群1882人、対照群1883人)のデータを用いてイコデクの安全性、有効性を調べたポストホックメタ解析の結果が報告されていたのでご紹介しますね♪
ちなみにイコデクはどのように投与されたんだっけ?

イコデクは1週間毎の投与だから、1日1回の持続型インスリンの7倍量が投与されるプロトコールだったっけ?

まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そのとおりです。

インスリン非使用者を対象とした試験(ONWARD1,3,5)では対照群(1日1回の持続型インスリンを投与)は1日10単位に対してイコデク群は70単位より開始されました。

インスリンの切り替え試験(ONWARD2,4)では、切り替え時に血糖が著明に上昇しないように、イコデク群の初回投与量は今まで使用していた1日1回の持続型インスリンの7倍量の50%増し(1.5倍)とされました。(イコデクはインスリン作用の立ち上がりが遅いため)

いつもの7倍の1.5倍か…
結構多い量になるけど
1週間分だもんね
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうですね、慣れるまではちょっと躊躇してしまいますね。
1回の投与量が多いためイコデクは10単位刻みの目盛りになっているようです。

 

主要評価項目:イコデク投与群で低血糖リスクの上昇を認めなかった

このメタ解析の主要評価項目は

・臨床的に重要な低血糖(レベル2:血糖値<54 mg/dL)の発生率と発生頻度

・重症低血糖(レベル3)の発生率と発生頻度

副次評価項目は

ベースラインからのHbA1c低下量、HbA1c<7%達成率、体重変化 などでした。

 

低血糖の発生率と発生頻度は同じ意味でしょ
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
いえ、発生率は「1回以上の低血糖を経験した参加者の割合」
発生頻度は「患者1年あたりの低血糖エピソードの回数」と定義されています。
ややこしい~
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
結果です♪

 

 

 

レベル2の低血糖発生率には有意差を認めませんでしたが、低血糖発生頻度はイコデク群でわずかに多い結果でした。

(イコデック群1.15 vs 比較薬群1.00エピソード/患者年)

ガジガジDr.
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統計的には有意に高いという結果でしたが、臨床的にはイコデク群で6年に1回低血糖が増えるくらいの差だそうです。

 

一方、重症低血糖はイコデク群で有意に少ない結果でした(8 vs 18エピソード)。

結局、どうなの?!
モッさん
モッさん

ガジガジDr.
ガジガジDr.
たしかに解釈が難しいですね…。
総合的に考えるとイコデク群で低血糖が増える可能性は低いと考察されていました。

副次評価項目:イコデク群でより大きなHbA1cの低下を認めた

副次評価項目である

ベースラインからのHbA1c低下量はイコデク群で有意に大きく(下図)、

HbA1c<7%達成率もイコデク群で有意に高い(オッズ比 1.45)結果でした。

 

ガジガジDr.
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全体の解析に加えてサブグループ解析も行われていましたが、すべてのグループでイコデク群のHbA1c低下量がより大きい結果でした!(下図)

 

 

体重に関してはイコデク群でわずかに増加したという結果でしたがその差は1㎏程度でした。

 

ガジガジDr.
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ちなみに、ONWARDS 2とONWARDS 4ではCGM(持続血糖モニター)を被検者に装着しており、この2つの試験の事後解析で試験期間中のTIR,TAR,TBRについても比較されていましたが、低血糖時間’TBR)はイコデク群と対照群で差はなかったとのことでした。(下図)。

 

 

イコデク(アウィクリ)は投与2~3日目の血糖降下作用がやや強い(かもしれない)

ガジガジDr.
ガジガジDr.
でも…
1日じゅうフラットな血糖降下作用を発揮する1日1回注射の持続型インスリンでも、注射後に効果がやや強くなる時間帯があるように、週1回投与のインスリンにも多少の作用の山があるのでは?と思いますよね。
そうだね、
あるの?
まる
まる
あるの?ないの?あるの?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
下図は2型糖尿病患者さん48名にイコデクを8週間投与して定常状態に達した後にグルコースクランプを行い、投与後1週間の血糖降下作用の強さの推移をモデル予測したものです。
どれくらいの投与期間で定常状態に達したの?
まる
まる
ガジガジDr.
ガジガジDr.
投与後3~4週間と記載してありました。

 

 

 

 

まる
まる
注射して2~3日目の作用が少しだけ強くなるんだね
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうですね。
この結果からは1週間を通してほぼ均一な血糖降下作用を示すことがわかりますが、ちょっとだけ山がありますね。

インスリン分泌が高度に低下した患者さんに投与する時は2~3日目の低血糖に注意しないといけないかもしれませんね。

 

週1回投与の新しいインスリンで
インスリンユーザーの負担が少しでも軽減されればよいと思います。

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Once-weekly insulin icodec compared with daily basal insulin analogues in type 2 diabetes: Participant-level meta-analysis of the ONWARDS 1-5 trials.Bajaj HS, et al. Diabetes Obes Metab. 26(9):3810-3820, 2024

Continuous Glucose Monitoring-Based Metrics and Hypoglycemia Duration in Insulin-Experienced Individuals With Long-standing Type 2 Diabetes Switched From a Daily Basal Insulin to Once-Weekly Insulin Icodec: Post Hoc Analysis of ONWARDS 2 and ONWARDS 4. Bajaj HS, Ásbjörnsdóttir B, Carstensen L, Laugesen C, Mathieu C, Philis-Tsimikas A, Battelino T. Diabetes Care. 47(4):729-738,2024

Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of once-weekly insulin icodec in individuals with type 1 diabetes. Hövelmann U, et al. Diabetes Obes Metab. 26(5):1941-1949,2024

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