もしかして、もう少ししたら使えるようになるの?
ONWARD1-5試験 ~2型糖尿病に対してイコデク(アウィクリ)の有効性と安全性を評価した第3相試験~
まず各試験の特徴を簡単な表にまとめてみました(モッさんが勉強していないと思うから)
各試験の主要評価項目はベースラインからのHbA1cの変化であり、
副次評価項目として、低血糖をはじめとする安全性、体重変化などが比較されました。
一部の試験では持続血糖モニターによる血糖コントロール指標(TIR,TAR,TBR)も評価されました。
僕は6が好きなんだよ。6はないの?
ONWARD試験のメタ解析 ~イコデク(アウィクリ)は1日1回投与の基礎インスリンと比較して、低血糖を増やさず高い血糖降下作用を認めた~
イコデクは1週間毎の投与だから、1日1回の持続型インスリンの7倍量が投与されるプロトコールだったっけ?
インスリン非使用者を対象とした試験(ONWARD1,3,5)では対照群(1日1回の持続型インスリンを投与)は1日10単位に対してイコデク群は70単位より開始されました。
インスリンの切り替え試験(ONWARD2,4)では、切り替え時に血糖が著明に上昇しないように、イコデク群の初回投与量は今まで使用していた1日1回の持続型インスリンの7倍量の50%増し(1.5倍)とされました。(イコデクはインスリン作用の立ち上がりが遅いため)
結構多い量になるけど
1週間分だもんね
1回の投与量が多いためイコデクは10単位刻みの目盛りになっているようです。
このメタ解析の主要評価項目は
・臨床的に重要な低血糖(レベル2:血糖値<54 mg/dL)の発生率と発生頻度
・重症低血糖(レベル3)の発生率と発生頻度
副次評価項目は
ベースラインからのHbA1c低下量、HbA1c<7%達成率、体重変化 などでした。
発生頻度は「患者1年あたりの低血糖エピソードの回数」と定義されています。
レベル2の低血糖発生率には有意差を認めませんでしたが、低血糖発生頻度はイコデク群でわずかに多い結果でした。
(イコデック群1.15 vs 比較薬群1.00エピソード/患者年)
一方、重症低血糖はイコデク群で有意に少ない結果でした(8 vs 18エピソード)。
総合的に考えるとイコデク群で低血糖が増える可能性は低いと考察されていました。
副次評価項目である
ベースラインからのHbA1c低下量はイコデク群で有意に大きく(下図)、
HbA1c<7%達成率もイコデク群で有意に高い(オッズ比 1.45)結果でした。
体重に関してはイコデク群でわずかに増加したという結果でしたがその差は1㎏程度でした。
イコデク(アウィクリ)は投与2~3日目の血糖降下作用がやや強い(かもしれない)
1日じゅうフラットな血糖降下作用を発揮する1日1回注射の持続型インスリンでも、注射後に効果がやや強くなる時間帯があるように、週1回投与のインスリンにも多少の作用の山があるのでは?と思いますよね。
あるの?
この結果からは1週間を通してほぼ均一な血糖降下作用を示すことがわかりますが、ちょっとだけ山がありますね。
インスリン分泌が高度に低下した患者さんに投与する時は2~3日目の低血糖に注意しないといけないかもしれませんね。
週1回投与の新しいインスリンで
インスリンユーザーの負担が少しでも軽減されればよいと思います。
—————————————————————————————————-
Once-weekly insulin icodec compared with daily basal insulin analogues in type 2 diabetes: Participant-level meta-analysis of the ONWARDS 1-5 trials.Diabetes Obes Metab. 26(9):3810-3820, 2024
Continuous Glucose Monitoring-Based Metrics and Hypoglycemia Duration in Insulin-Experienced Individuals With Long-standing Type 2 Diabetes Switched From a Daily Basal Insulin to Once-Weekly Insulin Icodec: Post Hoc Analysis of ONWARDS 2 and ONWARDS 4. Diabetes Care. 47(4):729-738,2024
Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of once-weekly insulin icodec in individuals with type 1 diabetes. Diabetes Obes Metab. 26(5):1941-1949,2024