さて…
でも、間違ってますよ。
血糖値を下げるのはインスリンですよ。
最近ハマっていることはマスク集めです!
さて、血糖が血糖を下げるとは、どういうことでしょうか?
ブドウ糖の一部は、インスリン非依存性に消費される
Mossanが言う通り、インスリンの働きにより血糖値が制御されることは広く知られていますが、糖のすべてがインスリン作用により組織に取り込まれ、消費されるわけではありません。
例えば、脳や赤血球、腎臓などの組織には、ブドウ糖はインスリン非依存性に取り込まれ、消費されます。
すでに100年近く前から、インスリンを介さず(インスリン非依存性に)、糖の取り込みを促進する因子があると考えられていました。
その概念が、Glucose effectiveness (SG)です。
まさに、血糖が血糖を下げる作用、と言ってもよいかもしれません。
その後、経静脈的なグルコース投与(IVGTT)において経時的に血糖値とインスリン値を測定し,ミニマルモデルと呼ば れる数学的な方法を用いて調べることにより、Glucose effectivenessが血糖を調節する、かなり重要な因子であることが分かってきました。
IVGTTにおいて、ブドウ糖消費の70%程度が、Glucose effectiveness(インスリン非依存性の作用)によるものであった。
IVGTTによる研究では、消費されたブドウ糖の70%程度がGlucose effectiveness、残りの30%程度がインスリンを介した作用であったと報告されています。
間違ってますから。
もし略語を使用するなら、”SG”です。
インスリン分泌が完全にブロックされても、Glucose effectivenessにより血糖は低下する
しかし、本当にインスリンがなくても血糖値が下がるのでしょうか?
下図は、膵臓に働きインスリン分泌をブロックするジアゾキサイドという薬剤をマウスに投与したのちに、ブドウ糖を静脈投与して血糖とインスリン分泌の推移を調べた研究です。
赤字が、ジアゾキサイド投与群、黒字がコントロール群です。
ジアゾキサイド投与群ではインスリン分泌は完全に抑制されているにもかかわらず、
血糖値はコントロール群と同程度までしか上がらず、その後ゆっくり下がっています(黄色枠)。これがGlucose effectivenessだと考えられています。
Glucose effectivenessを低下させる因子には、肥満、2型糖尿病、妊娠糖尿病、肝硬変、老化などがある
Glucose effectivenessを低下させる要因についても、研究が進んでいます。
特に日本人では、欧米と比べてGlucose effectivenessが糖尿病の発症や悪化に強く関わっているのではないかと考えられています。
日本人を対象とした研究では、2型糖尿病患者さんだけでなく、糖尿病予備軍の人や、糖尿病患者の子供さんにおいて、すでにGlucose effectivenessが低下していることが報告されています。
その他には、肥満、老化、肝硬変などがGlucose effectivenessを下げると報告されています。
糖尿病治療への応用が期待されている
まだその点についてはわかっていません。
但し、
Glucose effectiveness: Lessons from studies on insulin-independent glucose clearance in mice.Ahrén B, Pacini G.J Diabetes Investig. 2020 Oct 23. doi: 10.1111/jdi.13446. Online ahead of print
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