Glucose effectiveness~血糖が血糖を下げる?!

皆さん、今年もよろしくネ!
さて…
モッさん
モッさん
血糖が血糖を下げる話??
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうです。ワクワクするでしょ!
先生、今年もハイパーですね。
でも、間違ってますよ。
血糖値を下げるのはインスリンですよ。
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
よく知っていますね!
まあ、糖尿病内科犬になって15年は経ちますからね。
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
なんですか、それ…
まる
まる
Mossanは何年生まれ?
2017年11月30日、ナニワ生まれ!
最近ハマっていることはマスク集めです!
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
もうその話はいいですから。

 

さて、血糖が血糖を下げるとは、どういうことでしょうか?

ガジガジDr.
ガジガジDr.
Glucose effectiveness のお話をしましょう

ブドウ糖の一部は、インスリン非依存性に消費される

Mossanが言う通り、インスリンの働きにより血糖値が制御されることは広く知られていますが、糖のすべてがインスリン作用により組織に取り込まれ、消費されるわけではありません。

例えば、脳や赤血球、腎臓などの組織には、ブドウ糖はインスリン非依存性に取り込まれ、消費されます。

すでに100年近く前から、インスリンを介さず(インスリン非依存性に)、糖の取り込みを促進する因子があると考えられていました。

その概念が、Glucose effectiveness (SG)です。

まさに、血糖が血糖を下げる作用、と言ってもよいかもしれません。

その後、経静脈的なグルコース投与(IVGTT)において経時的に血糖値とインスリン値を測定し,ミニマルモデルと呼ば れる数学的な方法を用いて調べることにより、Glucose effectivenessが血糖を調節する、かなり重要な因子であることが分かってきました。

IVGTTにおいて、ブドウ糖消費の70%程度が、Glucose effectiveness(インスリン非依存性の作用)によるものであった。

インスリンがなくても血糖値が下がる?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そうです。
IVGTTによる研究では、消費されたブドウ糖の70%程度がGlucose effectiveness、残りの30%程度がインスリンを介した作用であったと報告されています。
じゃあ、そのグルコースエフェクティブネスがうまく働かなければ、糖尿病になったり、血糖値が上がったりするの?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
おそらくそうですね。インスリン分泌の低下や感受性の悪化だけでなく、このGlucose effectivenessも糖尿病発症や悪化に関係しているのではないでしょうか。
どんな人たちで、そのGEが低下するの?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
勝手に省略しないで下さい。
間違ってますから。
もし略語を使用するなら、”SG”です。
いや、それは納得いかないな。頭文字とったらGEでしょ!
モッさん
モッさん

インスリン分泌が完全にブロックされても、Glucose effectivenessにより血糖は低下する

しかし、本当にインスリンがなくても血糖値が下がるのでしょうか?

下図は、膵臓に働きインスリン分泌をブロックするジアゾキサイドという薬剤をマウスに投与したのちに、ブドウ糖を静脈投与して血糖とインスリン分泌の推移を調べた研究です。

赤字が、ジアゾキサイド投与群、黒字がコントロール群です。

ジアゾキサイド投与群ではインスリン分泌は完全に抑制されているにもかかわらず、

血糖値はコントロール群と同程度までしか上がらず、その後ゆっくり下がっています(黄色枠)。これがGlucose effectivenessだと考えられています。

 

じゃあ、インスリン分泌が少なくてもGEがあるから大丈夫なの
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
GEでなく、SGです。
ガジガジDr.
ガジガジDr.
いえ、インスリン分泌が低下するとSGも低下することがわかっています。インスリンとGlucose effectiveness(SG)の働きは違うけれど、お互いに関連し合っているのです。

Glucose effectivenessを低下させる因子には、肥満、2型糖尿病、妊娠糖尿病、肝硬変、老化などがある

Glucose effectivenessを低下させる要因についても、研究が進んでいます。

特に日本人では、欧米と比べてGlucose effectivenessが糖尿病の発症や悪化に強く関わっているのではないかと考えられています。

日本人を対象とした研究では、2型糖尿病患者さんだけでなく、糖尿病予備軍の人や、糖尿病患者の子供さんにおいて、すでにGlucose effectivenessが低下していることが報告されています。

その他には、肥満、老化、肝硬変などがGlucose effectivenessを下げると報告されています。

糖尿病治療への応用が期待されている

逆に上げることはできないの?
モッさん
モッさん
ガジガジDr.
ガジガジDr.
そう、そこが大切ですよね!
まだその点についてはわかっていません。
但し、
ガジガジDr.
ガジガジDr.
GLP-1やGIPなどのインクレチンがGlucose effectivenessを上げることが報告されています。このため、GLP-1受容体作動薬などがよい効果をもたらすかも…?とも期待されていますが、明らかにはなっていません。
まる
まる
太ってしまうと、インスリン感受性が悪くなって血糖値が上がるだけでなく、SGの作用も低下して余計に血糖値が下がりにくくなる可能性があるね。
このネコ、Mossanよりできる!(弟子変えしようかな…)
ガジガジDr.
ガジガジDr.

Glucose effectiveness: Lessons from studies on insulin-independent glucose clearance in mice.Ahrén B, Pacini G.J Diabetes Investig. 2020 Oct 23. doi: 10.1111/jdi.13446. Online ahead of print

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