転倒や寝たきりなどの原因になってしまうので、糖尿病の患者さんもサルコペニアにならないように予防することが大切ですね。
人では、いろいろな診断基準があるのです。
アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS2019)による診断基準では、簡便な評価法が追加された
世界的には、ヨーロッパのワーキンググループ(EWGSOP)が作成したものがよく使用されているようです。
また、アジア人のデータをもとに作成された、アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)による診断基準も、わが国ではよく使用されています。
2019年には、この診断基準が改訂され、地域の医療現場でも比較的簡便にサルコペニアの患者さんを拾い上げられるようになりました。
高齢者の過度の体重減少は筋肉量の低下をきたし、サルコペニアになる危険性が高くなるからです。
高齢2型糖尿病患者では、サルコペニアを予測するBMIは24.4であった
65才以上の日本人2型糖尿病患者さんを対象として、BMIとサルコペニアの関係を調べた研究です。
この研究では、AWGSによる診断基準(改訂前)で、サルコペニアの診断を行っています。
握力が<26kg(男性)<18kg(女性)もしくは歩行スピードが0.8m/s以下で、かつ筋肉量の指標(SMI)が<7.0kg/m2(男性)<5.7kg/m2(女性)以下の患者さんをサルコペニアと診断して、サルコペニアの有無とBMIとの関係を調べています。
対象は、2017~2018年にクリニックの外来に通院していた1137人の2型糖尿病患者さんで、平均73才、BMI24.9 でした。
このうち、142人がサルコペニアの定義を満たしました。
体重とサルコペニアは強い関連を認め、ROC解析では、サルコペニアを有する患者のBMIのカットオフ値は24.4でした(下図)。
このAUC値が上がるほど、2者の関連が強くなるということを示します。
また、感度よりも特異度が高いですね。
ちなみに、男女別のデータも解析されていました。
有意差はない、ということでしたが、男性のほうが、少しAUCが大きい印象ですね。
男性では、BMIが筋肉量(と筋力)をより反映する傾向があるということでしょうか??
(ただし、この研究は横断研究のため、BMIとサルコペニアの因果関係については不明です。)
糖尿病患者さんはサルコペニアのリスクが高く、また、サルコペニアがある人は糖尿病の発症、悪化のリスクが高いことがわかっています。
普通体型であっても、糖尿病患者さんはサルコペニアにも十分な注意が必要ですね。
Nakanishi S,et al. Significance of body mass index for diagnosing sarcopenia is equivalent to slow gait speed in Japanese individuals with type 2 diabetes:Cross-sectional study using outpatient clinical data. J Diabetes Investig 12: 417–424,2021
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