1型糖尿病患者にSGLT2阻害薬を投与すると血糖変動が改善する

SGLT2阻害薬は、1型糖尿病患者さんにも使用できる数少ない内服薬ですね。

すい臓には作用せず、尿糖を排泄することにより血糖を下げるという新しい機序で血糖を下げるので、すい臓からのインスリン分泌が高度に低下している1型糖尿病患者さんに対しても血糖改善効果をみとめます。

 
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1型糖尿病患者さんがこの薬を使うと、どれくらい血糖がよくなるの?
 
Gajigaji Dr.
日本人の1型糖尿病患者さんを対象にした研究で、このような結果が出ました!

1型糖尿病患者さんにSGLT2阻害薬を投与すると、3ヶ月後のHbA1cは0.4%低下し、血糖変動幅が大幅に減少した。

2020年9月にpublishされた新しい報告です。
51人の1型糖尿病患者さんに対して、SGLT2阻害薬を投与して、投与前後の血糖プロファイルやHbA1c、インスリン量、体重の変化を調べた研究です。
51人のうち、41人がインスリン頻回注射法、10人がインスリンポンプ療法の患者さんでした。
平均年齢が52.3歳、BMI24.9、HbA1c 8.1%の患者さんです。
投与前後の血糖プロファイル(持続血糖測定器:CGMデータ)の変化は、下図のようになりました。
 
Gajigaji Dog
全然違う! 帯も細くなってるね!
点線内の血糖70~180mg/dLに収まる時間がかなり増えているように見えます。
実際に、その割合を示したのが下表です。
 

SGLT2阻害薬投与により、平均血糖、血糖変動は改善したが、低血糖の増加は認めなかった。

 
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TAR(%)が減って、TIR(%)が増えていますね。でも、TBRであらわされる低血糖は増えていませんね!
血糖は改善しているにかかわらず、低血糖の有意な増加はありませんでした。
 

1型糖尿病患者さんへのSGLT2阻害薬投与により、インスリン投与量は9.4%減少した。

気になるインスリン量の変化は…

総インスリン量で9.4%減っています。基礎インスリンの方が、少し減り幅が大きかったようです。

体重は平均1.6㎏減少し、HbA1cは0.4%改善したという結果でした。

SGLT2投与によるケトアシドーシスのリスクが上昇するため、過度のインスリン減量は行うべきではない。

1型糖尿病患者さんにSGLT2阻害薬の投与する場合は、特にケトアシドーシスに注意が必要ですが、今回の研究では4人が尿中ケトン陽性になったものの、ケトアシドーシスなどの重篤な状態になった患者さんはいませんでした。

糖尿病学会のリコメンデーションにもあるとおり、SGLT2阻害薬の投与時にインスリンを減らし過ぎるとケトアシドーシスのリスクが高まると考えられています。

投与前のHbA1c が7.5%未満の患者さんでは、投与開始時のインスリンの減量は10~20%までに留めること(20%以上減量しないこと!)、HbA1c が7.5%以上の患者さんでは、まずはインスリン減量は行わず薬剤を開始するのが望ましいのではないかということでした。

十分に注意しつつ投与が必要な薬剤ですが、患者さんによっては高い効果が期待できる可能性がありますね。

Chiba K et ai. Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors reduce day-to-day glucose variability in patients with type 1 diabetes. J Diabetes Investig. 2020 Jun 27. doi: 10.1111/jdi.13335. Online ahead of print.

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