今回はインスリンポンプのデメリットについて、考えてみましょう。
①インスリンポンプにより医療費負担が増える
大きなデメリットはこの一つのみです。
インスリン治療にかかる1ヶ月あたりの医療費の自己負担額について、大まかな目安をまとめました。
上表にあるように、インスリン注射(ペン型インスリン治療)から、インスリンポンプに変更することにより、3割負担の方では9000円程度高くなっています。
但し、注射針や、使用するインスリン容器の違いにより、インスリンポンプ療法の場合は薬局で支払う額が1500~2500円程度(3割負担)安くなることが多いので、実際には7000円程度の差になることが多いです。
(あくまで概算であり、インスリン製剤の種類、使用量や治療内容により異なります!)
SAP療法(持続血糖測定器:CGMを使用する場合)により、さらに10000円程度の医療費がかかります。
※20歳未満の患者さんでは、小児慢性特定疾病の医療費助成制度が適用されます。
➁ポンプ刺入部(カニューレ部位)や、CGMの固定テープのかぶれ
皮膚が弱い、デリケートな方では、このかぶれ(接触性皮膚炎)に悩まされることがあります。製造メーカーもシールの改良に力を注いでいますが、現時点では治療に伴うデメリットの一つです。
但し、皮膚トラブルを回避、軽減するための色々な方法がありますので、皮膚トラブルのためにポンプ療法を中止せざるを得ない方は非常に少ないです。
③ポンプ閉塞の可能性がある
これはデメリットではなく、ポンプを使用する上で最も重要な注意点になります。
ポンプ閉塞(チューブが詰まった)時には、インスリン注入がストップするので、気づかない、または放っておくと糖尿病ケトアシドーシス発症のリスクが極めて高くなります。
但し、患者さん自身が血糖測定やグルコースモニターをきちんと行っており、ポンプ閉塞の予防や閉塞時の対応についての指導とトレーニングができていれば、大事に至ることは決してありません。