糖尿病
Diabetes
糖尿病
Diabetes
インスリン以外の治療薬は実に50種類近くの薬剤が存在します
最も患者さんに合った、かつ低血糖リスクの少ない薬剤を選んで処方しています
糖尿病の薬が一体どれくらいあるか、ご存じでしょうか?
同じグループに入っている薬剤も、それぞれ少しずつ違う特徴がありますので、 インスリン以外の治療薬として、実に50種類以上の薬剤が存在します。
専門家は、この膨大な薬剤のなかから、最も患者さんに合った、かつ低血糖リスクの少ない薬剤を選んで処方しています。
当院では、体重を増やさない糖尿病治療、肥満・肥満ぎみの方に対しては体重を減らす糖尿病治療に力を注いでおりますので、その点に配慮した薬剤の選択を行っています。
多くは2型糖尿病患者さんに使用する薬剤ですが、一部の薬剤は、1型糖尿病患者さんのよりよい血糖コントロールのために、インスリンと併用して使用することもあります。
体重を増やさない糖尿病治療
肥満・肥満ぎみの方に
対しては
体重を減らす糖尿病治療に
力を注いでいます
その点に配慮した薬剤の選択を行っています
血糖降下薬の種類と特徴、注意すべき点についてわかりやすく解説
製品名:メトホルミン、メトグルコなど
糖新生(肝臓から糖を作る作用)を抑えたり、筋肉での糖利用をうながして、血糖を下げる薬です。
最も古くから使われている薬ですが、非常に効果が高く、安全な薬です。
持効型
単剤では低血糖を起こしにくい薬剤です。
食前、食後ともに血糖を低下させる作用があります。
一般的な使用量は1日500mg~2250mgであり、かなり幅があります。用量依存性に効果が強くなる特徴があります。
注意点
【乳酸アシドーシス】
大変重篤な合併症ですが、シックデイ時にきちんと休薬すれば予防できますので必要以上に怖がる必要はありません。また、メトグルコ内服により、特に発症率が上昇するわけではありません。
(※シックデイ:発熱や食欲低下、下痢など体調不良時のこと)
【下痢や吐き気】
開始時に起こりやすいですが、ほとんどの患者さんでは、徐々に症状が軽くなり、次第になくなります。これらの症状が現れにくいよう、少量から開始するのがコツです。
【ヨード造影剤使用前後に休薬が必要】
造影CTなど、ヨード造影剤を使用する場合は、前後2日間程度の休薬が望ましいです。(緊急時はその限りではありません)
使用が望ましくない方
腎機能低下を認めている患者さん(GFR30以下では禁忌)、 大酒家、重篤な他の病気がある方(重症の心不全や肝障害、呼吸不全など)
製品名:アクトス、ピオグリタゾンなど
筋肉や脂肪などでのインスリンの効きをよくする薬です。
特徴
単剤では低血糖を起こしにくい薬剤です。
注意点
・体液貯留傾向あり、心不全、浮腫などをきたすことがあります。
・体重増加することがあります。気づかないうちにかなり増えてしまうこともありますので、体重のチェックが重要です。
・骨量低下が報告されています。
使用が望ましくない方
・心不全のある方
・重症の肝障害、腎不全、呼吸不全などがある方
ジャヌビア、グラクティブ、エクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザ、ザファテック(週1回)、マリゼブ(週1回)
食事をとると小腸から分泌されるホルモンであるGLP-1の働きを高める薬剤です。GLP-1は、すい臓に働きかけてインスリンを分泌させて血糖を低下させます。
特徴
血糖値の高いときのみインスリン分泌を促進させるので、単剤では低血糖を起こしにくい薬剤です。
一部の薬剤は透析患者さんにも使用できます。
注意点
・頻度は高くないですが、便秘などの消化器症状を起こすことがあります。
・ごくまれに、膵酵素の上昇や皮膚障害(水疱性類天疱瘡など)をきたすことがあります。
・スルホニルウレア薬と併用する場合には、低血糖をきたすことがありますので注意が必要です。
製品名:グリメピリド、アマリール、グリミクロン、グリクラジド、オイグルコン、ダオニール、グリベンクラミドなど
すい臓のβ細胞に作用して、インスリン分泌を促し、血糖を下げる薬剤です。
特徴
特に空腹時の血糖値を下げる効果が強い薬剤です。
SU薬のなかでも薬剤により持続時間や血糖低下作用の強さが異なります。
注意点
血糖低下効果が強い反面、低血糖にも注意が必要な薬剤です。
特に、高齢の方、腎機能が低下している方では、薬剤の効果が遷延し、低血糖のリスクが上がります。
体重が増加することがあります。
使用が望ましくない方
特に、腎機能が低下している方、食欲が安定しない方(低血糖のリスクが高くなります)
製品名:シュアポスト、グルファスト、ミチグリニド、スターシス、ファスティック、ナテグリニドなど
SU薬の弟分のような薬剤です。すい臓のβ細胞に作用して、インスリン分泌を促す作用は、SU剤と同じですが作用時間がSU薬より短い特徴があります。
特徴
食直前に内服することにより、短時間作用して、食後の血糖値を下げる作用があります。
一部の薬剤は、透析患者さんにも十分注意しながら使用できます。
注意点
・内服して食事をとらなければ低血糖のリスクが上がります。
・食直前に服用する薬剤です。他のタイミングで内服すれば、食後血糖を抑制する効果がないばかりか、低血糖のリスクが上がります。
製品名:セイブル、ミグリトール、ベイスン、ボグリボース、グルコバイ、アカルボースなど
小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑えます。
特徴
食前の血糖値はそれほど高くないけれど、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。
服用タイミングがとても大切な薬剤です。食直前に服用しないと期待した効果が得られません。
注意点
α-グルコシダーゼ阻害薬のみの治療では、低血糖を起こす可能性はとても低いです。しかし、低血糖が起こったときは、必ずブドウ糖をとることが必要です。
腸に作用しますので、下痢や放屁などの症状が出ることがあります。飲み続けると慣れが生じ、多くの場合は徐々に治まります。
肝障害をきたすことがありますので、血液検査でチェックが必要です。
一部の薬剤は透析患者さんにも使用できます。
製品名:スーグラ、フォシーガ、ジャディアンス、カナグル、デベルザ、ルセフィ、アプルウェイ
腎臓にある尿細管での糖の再吸収を阻害することにより、尿に糖を出して血糖を低下させる、新しい作用機序を持つ薬剤です。
特徴
1日200~400 kcal程度のグルコースが尿として出ていくので、食事療法と組み合わせれば、体重減少効果がある薬剤です。
近年、糖尿病患者さんの心血管疾患や心不全、腎症進行を抑制する効果があることがわかってきており、注目されている薬剤です。
単剤では低血糖を起こしにくい薬剤です。
一部の薬剤は、1型糖尿病患者さんにも使用できます。
注意点
尿量が増える場合がありますので、脱水予防のため十分な水分摂取が必要になります。
特に女性では、性器感染症(陰部のかゆみなど)に注意が必要です。
膀胱炎も起こりやすいと言われていますが、最近の報告では膀胱炎などの尿路感染症のリスクを上げることはあまりないとされています。
製品名(注射薬):【週1回】オゼンピック、トルリシティ、ビデュリオン【1日1回】ビクトーザ、リキスミア【1日2回】バイエッタ
製品名(内服薬):【1日1回内服】リベルサス
現在、糖尿病の注射薬は、インスリンと、このGLP-1受容体作動薬のみです。
但し、インスリンとは全く異なる薬剤です。
GLP-1は、もともと私たちの腸管から分泌されているホルモンです。
GLP-1は、血糖が上昇した時のみ、すい臓に働きかけてインスリンを分泌させて、血糖を下げる働きがあります。 また、胃の中にある食べ物の排出を遅らせて血糖の急激な上昇を抑えたり、食欲を抑える作用があります。
また、2021年より内服薬も使用できるようになっています。注射薬とほぼ同等の効果が得られます。生活スタイルに応じて注射薬、内服薬から選択することができます。
※ただしリベルサスについては、飲み方に注意が必要です。起床時にコップ約半杯の水で服用し、服用後30分間の飲食を控えることで最大の効果が得られます。
特徴
血糖コントロールとともに減量が必要な患者さんにも適した薬剤です。
一部の薬剤は、海外では肥満の方に対する抗肥満薬として使用されています(通常量よりも高用量で使用)。
糖尿病の方においては、本薬剤と食事・運動療法の併用により2~10kgの減量を達成できたという報告があります。逆に、体重が変化しなかった場合も血糖改善効果が認められる場合がほとんどです。
DPP-4阻害薬と同じく、血糖値が高いときのみインスリン分泌を促進させるので、単剤では低血糖を起こしにくい薬剤です。
週1回製剤、1日1回、2回製剤があり、それぞれ血糖を低下させるパターンや体重減少作用の強さが異なります。患者さんの血糖値の特徴や生活スタイルに合わせて製剤を選択しています。
一部の薬剤は透析患者さんにも使用できます。
注意点
胃腸の症状 使い始めに吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状があらわれることがありますが、多くの場合しばらくすると治まります。
このような症状を予防するために、薬剤を少量から開始して、少しずつ増量していきます。
製品名:ツイミーグ
新しい作用機序を持つ薬剤であり、ミトコンドリアへの作用を介して、血糖値の上昇に応じてインスリン分泌を促し、肝臓や骨格筋での糖利用を促進させて血糖を下げる作用があります。
特徴
単剤では低血糖を起こす可能性が極めて低い薬剤です。
注意点
副作用としては、気分不良や下痢などがありますが頻度は少なく、幅広い患者さんに安全に使用できる薬剤として期待が高まっています。
GLP-1受容体作動薬、持続型インスリンの2つの薬剤が一緒になった製剤も使用できるようになっています。
GLP-1受容体作動薬の弱点は、患者さんのすい臓からのインスリン分泌能が悪く、空腹時血糖(朝いちばんの血糖)が高い患者さんには、GLP-1受容体作動薬だけでは十分な効果を発揮できないところでした。
一方、インスリンの弱点は、患者さんによっては少し体重が増えてしまうというところでした。太り気味の患者さんにとっては、この点は大きな問題になります。
この2つの薬剤は、お互いの弱点をカバーできるベストな組み合わせになります。
インスリン注射により、足らないインスリン分泌を補うことで、空腹時血糖を下げることができ、それによりGLP-1受容体作動薬のよい効果が十分発揮され、体重増加も抑えることができます。
配合剤であれば1回の注射で済みますので、患者さんの負担を軽減できる薬剤です。
1ドーズには、トレシーバ(インスリン)1単位およびビクトーザ(GLP-1受容体作動薬)0.036 mgが含まれます。
最大で1日50ドーズ(トレシーバ50単位、ビクトーザ1.8mg)まで使用できます。
インスリン グラルギン1単位およびリキスミア(GLP-1受容体作動薬)1μgが含まれます。
最大で1日20ドーズ(グラルギン20単位、リキスミア20µg)まで使用できます。
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